ピアノ協奏曲2011年7月19日

高校時代、いろいろなことに行き詰っていた。
あれこれ思い悩むうち、何もかもが嫌になっていった。
そんな心情にそっと寄り添ってくれたのが、
モーリス・ラヴェルの『ピアノ協奏曲ト長調』だった。

小澤征爾指揮・ボストン交響楽団、
ピアノはワイセンベルク。
当時はレコードである。
そのレコードは義理の兄からの借り物で、
カセットに落として何度も何度も聴いた。

特に第2楽章の静謐さは、
疲れた心を癒してくれた。

不思議と、雪景色と合う。
今でも雪が積もると、CDをかける。
(現在、まともに動くカセットデッキが我が家にはない)

※※※

先日、イニャリトゥ監督の映画『ビューティフル』を観に行った。
ハビエル・バルデム主演、
余命数ヶ月と宣告された男の生き様を描いた映画だった。

その中で、ラヴェルのピアノ協奏曲第2楽章が、
とても印象的に用いられていた。
パンフレットによると、
この曲にインスピレーションを受けたことが
この映画を創るきっかけになったのだと、
イニュリトゥ監督は語っている。

なぜかは説明できないが、
この曲には魂を揺さぶる強い何かがあるように思える。