偉大なり、岩井直溥先生2017年2月19日

昨年は『序曲1812年』。
今年は『 GR 』。
でかい曲があると、どうしてもそのチェックに時間がかかります。

だからといって他の楽曲を手抜きできる訳もなく …

何とか時間を遣り繰りしてスコアを読むのですが、
昨日、『ニューヨーク・ニューヨーク』を読み切りました。

「えっ、今まで読んでなかったの?」
「既に何度か合奏しているのに?」
という声が聞こえてきそうですが、
もちろん読んでいます。
が、コードを解析しながらの「深読み」にまでは至っていなかったのです。

『ニューヨーク・ニューヨーク』は1989年のニュー・サウンズ・イン・ブラス第17集の中の一曲。

第17集といえば、
『ディズニー・メドレーⅡ』
『太陽風』
『ユーミン・ポートレート』
『アメリカン・グラフィティー』
『トゥルース』
『ラプソディー・イン・ブルー』
など名曲揃いで、
ほぼ演奏し尽した感があります。

これまた名曲の『ニューヨーク・ニューヨーク』。
今までなぜ忘れられていたのでしょうか?

編曲は岩井直溥先生。
手書きスコアを読んでいると、改めて岩井直溥先生の偉大さを感じ取ることができます。

音の高さの間違いは僅かに一箇所だけ。
スタカートの書き漏れは数箇所あるのですが、
音の高さの間違いのこの少なさは驚愕です。

有難いことにピアノやエレキギターの段にコードネームを書いてくれています。
おそらくバッキングするのには、リズムとコードネームがあれば充分なのでしょう。

それを頼りに読んでいると、
コードからはみ出た音に時々出くわします。
例えばセブンスと書いてあるのに、
9番目や11番目などの音が。

きっと、ピアノやエレキでコードを弾くにはセブンスまであればよく、
管楽器の音はさらに分厚くしてあるのでしょう。

が、そんなに分厚くて本当に大丈夫なの?
特に9番目や11番目は高音域にあれば問題ないでしょうが、
中音域に潜らせてあると音がぶつかるじゃないかと心配になります。

という訳で、電子ピアノで、音色をオルガンに切り替えて弾いてみます。

まずセブンスで弾くと、あっさりした感じ。

次に楽譜通り、9番目・11番目も一緒に弾きます。
全然違います。
重厚さを感じます。
でも、濁った感じはありません。
やっぱりこれでいいんですな。

楽器編成としては、
バスーン
アルト・クラリネット
バス・クラリネット
テナー・サックス
バリトン・サックス
といったあたりにこれらの音が書いてあります。

特にテナー・サックス。
通常、テナー・サックスといえば1パートしか書かれないのですが、
この曲では 1st.T.Sax. と 2nd.T.Sax. が編成されています。
それぞれが音の厚みに寄与しているのです。

ホントに丁寧な仕事だと思います。
名漆芸家の作品のようです。