スコアを目の前に置いて指揮する。2017年7月9日

ここ何年も、スコアを見ずに本番の指揮をしてきました。

が、今年は指揮者用譜面台を据え付けてもらい、
スコアを目の前に置いて指揮しました。

岩城宏之さんの『楽譜の風景』を読んだ影響が大きかったと思います。
スコアを目に焼き付ける「フォト・コピー」の僅かなズレによる、
『春の祭典』での振り間違いの話などを読んでいると、
無理をして暗譜振りするより、
スコアを置いて指揮したほうが安全だと思ったのです。

ただし、暗譜していなかった訳ではないんです。

頭の中で楽曲を鳴らす、
いわゆる「鼻歌トレーニング」は何度も何度もやってきました。

今回、自分に課した「鼻歌トレーニング」は、
例年になく厳しいものでした。

これまでは、例えば電車の中で眼を瞑りながら「鼻歌トレーニング」していて、
眠たくなったら寝落ちしても構わないことにしていたのです。

が、今回は、眠たくても眠らないで曲の最後まで歌い切るようにしました。

暑い季節の、昼下がりの演奏会です。
本番中であっても意識を失いかけることがあるのです。
後で思うと、
あの曲のあの場面、
どう振っていたのか思い出せないこともあるくらいです。

もちろん、本番当日にそんな体調とならないように調整しておくのが一番ですが、
万が一、眠くても振ることができるような練習が必要だと思ったのです。

通し稽古での暗譜振りも何度も試しました。
大丈夫だという感触は得ていました。
が、万万が一の事故を避けるため、
本番では指揮者用譜面台にスコアを置いて指揮しました。

ところが、スコアを覚えているのが基本なので、
スコアを置いたまま、
ほぼ見ません。
見ないまま、頁だけめくっていきます。
ちょっと不安な箇所に来たのでスコアに目を落としてみようとすると、
全然違う頁が開いているのです。

暗譜振りの稽古には気を配りましたが、
スコアを置いて、
でもスコアは見ずにめくりながらの稽古。
こいつも大切だと痛感しました。

※※※

久しぶりに指揮者用譜面台を設置してみていいなと思ったのが、
タクトを置いておけること。

『キャリオカ2』の ミスター K のテューバ・ソロ、
とんでもなく凄かったでしょ。
演奏後、自然と握手したくなりますわな。
これまでだと、タクトをポケットに突っ込んでいたんですが、
指揮者用譜面台に置いた方がスマートですな。

アンコールで着替えの演出をすることになっていたんですが、
指揮者用譜面台がなければタクトを持って舞台袖に下がらないといけないので、
秒単位で忙しい着替えの邪魔になるんですな。