マエストロの想い出2010年7月13日

高校1年生の時、大将軍の府立体育館に吹奏楽のリレー・コンサートを聴きに行った。
もう30年以上も前のことである。
いろんな中学や高校の吹奏楽部が入れ替わり立ち替わり演奏を繰り広げていく。
取りは自衛隊の音楽隊。
陸上か海上か航空かも、どこの駐屯地かも覚えていない。

その演目のひとつが『クラウン・インペリアル』だったのは鮮明に記憶している。
一緒に聴きに行っていた1期上のY谷先輩は、
「こんなもっさい曲、演奏しやがって…」と、
最初から最後までぶつくさ言っていた。
Y谷先輩にとって、一体何が気に入らないのか全く分からないが、
私は初めて聴く曲で、とても魅力的だと思って聴き入っていた。

後で調べたところによると、
1937年にウェストミンスター寺院で行われたジョージ6世の戴冠式のために作曲されたもの。
なるほど、よく響く教会と体育館。
共通点があった訳ですな。
楽曲の魅力、よく響く環境…どうりで印象に深く残った訳です。

“マエストロ”フレデリック・フェネル指揮の
イースマン・ウインド・アンサンブルと東京佼成ウインドオーケストラのCDも聴きまくりました。
今回、練習曲として選曲したのはイーストマンの方をたまたま聴いたのがきっかけですが、
TKWOの演奏の方が円熟味があって私にはより魅力的です。

マエストロ&TKWOの日本での最後の演奏は、
2001年10月19日、
かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで、でした。
私はここで生の『クラウン・インペリアル』を聴いたと思い込んでいましたが、
プログラムに載っていません。
実際には、そのひとつ前、2000年4月20日、
東京文化会館大ホールで聴いたのでした。
プログラムにちゃんと載っているだけでなく、
この演奏会はDVDで販売されているのです。
(何と、客席にいる私が映っています)

クリフトン・ウィリアムズの『交響的組曲』や
ストラヴィンスキーの『バレエ組曲「火の鳥」』もプログラムされており、
天下の名演奏と語り継がれている凄いコンサートです。
『火の鳥』をやったあと、演奏会の取りが『クラウン・インペリアル』。
マエストロがしれっと振ったらメゾフォルテで、
ちょこっと高いところで振ったらすんごいフォルテシモで応えるTKWO。
がしっと堅く座っているのではなく、音楽を感じて「踊る大TKWO」。
もう、楽しくて楽しくて仕方なかったのをよく覚えています。

マエストロが他界して、早6年。
私は決してあなたのことを忘れません。