2008年11月

無題2008年11月23日

『ベルキス』をちょいとお休みし、11/21(金)は新譜4曲に取り組むことにしました。『里の秋』『鉄腕アトム』『ふるさと』『ジャパグラ13~スポーツは青春ダァー』です。
 この中から、今日は『里の秋』に関わる事柄についてコメントしてみたいと思います。あくまで“関する事柄”で、直接『里の秋』についてではありません。
 この曲は、TKWOが2004年にリリースした【このみち】というCDに収録されており、楽譜は佼成出版社から発売されています。せせらぎではこれまで、このアルバムの中から『夏の思い出』『汽車ポッポ』『川の流れのように』を演奏したことがあるので、実に4曲目となる訳です。
 かつて『夏の思い出』を演奏したとき、ふと思ったことがあります。「この響きは寅さんのドミソだ」と。と言いますのは、曲頭の2小節目と4小節目および終結部の響きが、『男はつらいよ』の主題歌のエンディングの響きとよく似てい
るからです。
 もう少し詳しく説明しましょう。まず、『男はつらいよ』の方から(手元に音源がある訳ではなく、子供の頃からの記憶をたどって書いていますので正確さには欠けると思いますがご容赦ください)。最終小節で「ドミソ」が鳴った後、フルートが駆け上がるようにスケールを奏でて至るのがオクターヴ上の「レ」。この「レ」は、根音である「ド」を基準に数えると9番目の音に当たるので、「ドミソ+オクターヴ上のレ」の和音は「ナインス」というコードネームで呼ばれます(少し単純化して記しています)。
 一方の『夏の思い出』の方はスコアを見ながら書きます。「ドミソ+ラ」、つまり根音から数えて6つ目の「ラ」がプラスされた「シックス」という和音のところに、フルートがスケールで駆け上がって「シ」とオクターヴ上の「レ」が鳴ります。つまり7つ目の音と9つ目の音が乗っかる訳です。コードネームは「シックス・セブンス・ナインス」と呼べばいいのでしょうか。
 「ドミソ」が鳴るところにフルートが駆け上がった「レ」が乗っかる、これが味噌なんですね。
 この和音、もし鍵盤が近くにあれば、ちょっと鳴らしてもらえたらなと思います。いかがですか。「ドミソ」だけよりも、何か温かみがあるというか、ホッとするというか、そんな感じ、しませんか?私は勝手に「日本人のDNAをくすぐ
る和音」だと思っております。
 そんな訳で、『夏の思い出』の編曲は、意図的に「男はつらいよのエンディング」風にされたのじゃないかと、勝手に推測しているのです。
 また『汽車ポッポ』も「A列車で行こう」風なアレンジではないかと思いながらかつて演奏しました。
 今回『里の秋』を演奏することになり、久しぶりにアルバム【このみち】を引っ張り出してきて聴いてみたら、『雪の降る街を』は、なんと「アルメニアン・ダンス・パート2」の第1楽章「農民の嘆き」風の編曲だと私には思えます。こ
のアルバム自体、「~風」でまとめる企画だったのかも知れない、と私の妄想は広がっていくのであります。

無題2008年11月13日

バレエ組曲「シバの女王ベルキス」に、これまで少しずつ取り組んできました。
11/14(金)、初めての全4楽章の合奏を行いました。
 この合奏に参加できた皆さん、まずはお疲れ様でした。そしていかがだったでしょうか。大変だったでしょうか。意外とできるやん、と思えたでしょうか。意
外と暇やな、と思ったでしょうか。
 それとも聖書の世界を感じたでしょうか。古代に迷い込んだような錯覚があったりしましたか。
 私は、どんな感想でもよいから、各自が胸に抱いたものを大切にしてほしいと思います(あ~疲れた、だけじゃなくて)。きっとそれが「初心」です。来年の6月や7月になっても忘れないでいてほしいと思います。
 短いですけれども、今日はコレだけ。それぞれの『ベルキス』に耽る時間を作ってみてはいかがでしょう。

無題2008年11月10日

11/7(金)、『ベルキス』の第3楽章と第4楽章を合奏しました。パワフルで面白い楽章ですが、ヘトヘトになりました。とにかくこの二つの楽章をも
のにしなければ『ベルキス』はどうにもならないと思います。精進したいと思います。

 さて、星出尚志さん編曲の『ジャパニーズ・グラフィティ13~スポーツは青春ダァー!~』の楽譜が配付されました。ジャパグラも13作までいってるんですね(アメグラはもっと沢山らしいですが)。
 せせらぎで以前に採り上げたジャパグラは第8作、やはり星出尚志さん編曲の『ウルトラ大行進!』でした。定期だけでなく、依頼演奏等で何度も演奏しました。
 思い起こせば、『ウルトラ大行進!』を演奏する予定はなかったと思います。けれども、せせらぎコンサートの元イケメン実行委員長・亀星君(私と同い年とは到底思えないほど若い、中学以来の友人)が、ものすごくやりたそうにしていました。そういえば、大学時代、彼の大東市の下宿に遊びに行った時、「ウルトラセブン」の最終回、モロボシ・ダン(森次晃嗣さん)がアンヌ(ひし美ゆり子さん)の前で、自分がセブンであることをカミング・アウトする名場面中の名場面を、何度も何度も見せられたものです。
 この楽譜はとにかく用意しといたほうがいいだろうと思い(私もやりたかったのは明白)、自腹で購入しておきました。そして次の年の定期で演奏することになったのでした。
 今年の9月、映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』が公開されました。1回目は幼稚園年中組の次男を連れて、2回目はひとりで観に行きました。実はこの映画のラストの方で、『ジャパグラ8~ウルトラ大行進!』の“ウルトラマンのうた”が使われているのです。演奏は横浜市消防音楽隊(エンド・クレジットで確認)。ウルトラマンのテレビ・シリーズがあって、その音楽がもとになったジャパグラ8が生まれ、それがウルトラ映画で使用される…歴史ある作品とは、こうして連綿となんらかの繋がりを産み出していくものだと、つくづく感心しました。

無題2008年11月2日

『ディスコ・キッド』冒頭、木管に出てくる16分休符+8分音符+16分休符、『アレックス教授の冒険物語』第12小節のティンパニ、バス・ドラム、4トムに登場する16分休符+付点8分音符、『ベルキス』第2楽章の木管の旋律の16分音符+付点8分音符のリズム(いずれも4/4拍子)。
 手書きでないと楽譜にして表す能力がないので、こんな分かりづらい書き方になってしまいましたが、要するに16分音符を4つ並べたとしたら、その2つ目にアタックのあるリズムです。
 私の気付いた共通点です。たったこれだけのことですが、バカにすることなかれ。このリズム、基礎のしっかりできてる人でも結構難しいですぞ。

 さて、東京・下町の旅、後編です。
 10/20(月)、浅草の「助六の宿 貞千代」で起床。どうやら宿のお向かいにスナックがあるらしく、一晩中カラオケを聴かされたような気がします。
それに今日はいよいよ柴又だと思うと、あまりよく眠れませんでした。まるで遠足前の小学生ですな。
 朝食と朝風呂を頂戴し、さあ、出発です。
 浅草寺に至るまでに、「浅草観音温泉」があります。レトロな建物で、是非立ち寄ってみたかったのですが、気が急くのでパス。
 駅までの途中、吾妻橋からは、隅田川の向こう岸に聳える「アサヒビール本社ビル」が見えます。炎のオブジェが印象的な、超近代的なビルディングです。
 東武鉄道・伊勢崎線の鉄橋を「特急スペーシア」がゆっくり渡っていきます。東武浅草駅を発車した流線型の特急は、日光へ向かうのでしょうか、それとも鬼怒川温泉へ向かうのでしょうか。
 さらに吾妻橋のたもとには、東京都観光汽船の「ヒミコ」が停泊中。松本零士さんのデザインだそうで、未来的で斬新なデザイン。潜水艦行動ができたり、はたまた宇宙戦艦に変身したりするんじゃないかと思えてきます。
 浅草とは、過去・現在・未来が融合した超時空な街でした。かなりぶっ飛んだ感想で済みません。
 そんなこんなで都営地下鉄・浅草線の浅草駅から柴又へ向かいます。ところで、都営地下鉄と東京メトロ、一体何がどう違うのでしょうね?
 浅草線は京成電鉄・押上線と相互乗り入れしています。押上駅までが都営地下鉄・浅草線で、押上駅から向こうが京成・押上線です。
 電車に揺られながら駅名を眺めていて、そういえば、この路線に2回乗ったことがあるのを思い出しました。
 1回目は1997年か98年だったと思います。東京の下町に砂時計を手作りしている日本でも数少ない(もしかすると唯一かもしれない)町工場があり、そこへ取材に行った時のことです。はっきり覚えていませんが、京成・立石駅で降りたように思います。本当にここが東京なのか、と思わせる懐かしい町並みだったと記憶しています。
 2回目は、プログラムが残っているのでいつだったかハッキリしています。2001年10月19日、かつしかシンフォニーヒルズへTKWOの定期演奏会
を聴きに行った時です。京成・青砥駅から10分くらい歩きました。私がフェネルさんの生演奏を聴いた最後となった日であり、おそらく、フェネルさんとし
ても日本での指揮活動の最後となった日であったと思います。まさか、その7年と1日後にこの地に再びやって来るとは、全く思いもよらぬことでした。
 京成・高砂駅で金町線に乗り換え、1駅目が柴又。遂にやってきました、寅さんの町に!
 平日にもかかわらず、柴又で降りる人のなんと多いことか。地元の方々ももちろんいてはりますが、ほとんど観光客のようです。見たところ、年配のご夫婦が多いようです。なかには家族連れもいます(私のような一人っきりのフーテンは見かけませんな)。寅さんを愛する人たちは、やっぱり沢山いるのです。
 まずは駅前広場の「フーテンの寅」像が出迎えてくれます。が、あまりに人が多くて撮影するのに一苦労です。
 味わい深い帝釈天参道の店を素見しつつ、「題経寺(柴又帝釈天)」を参拝します。源公が履き掃除してたり、さくらさんが自転車に乗ってお寺の角を曲がってくるんじゃないだろうか、そんな気がしてなりません。心からホッとする街です。
 題経寺を抜けて江戸川の方に歩いて行くと、「葛飾柴又寅さん記念館」があります。松竹・大船撮影所から移設された「くるまや」のセットが出迎えてくれます。涙が出そうです。あまりにもテンションが上がってしまい、寅さんのトレードマーク、フェルトのハットを衝動買いしました。3300円。それをかぶって散策続行です。私をチラチラ見て行く人、さすがに多いです。この気分、プライス・レス。
 江戸川に出ました。広い景色です。河川敷で、余裕で草野球できます。うまい具合に小学校の低学年のグループが遊びに来ていました。おそらく遠足でしょ
う。段ボールをお尻の下に敷いて土手を滑っています。やはり、江戸川べりの子供はこうでなくっちゃ~ね。
 「矢切の渡し」、本当にあるんですね。東京都唯一の渡し船だそうで、葛飾区と対岸の千葉県松戸市を結んでいます。風情たっぷりです。
 参道に戻り、「川千家(かわちや)」というお店でうな重を頂きました。さらに瓶ビールを2本、中瓶で。ご機嫌さんの出来上がり。柴又名物「草だんご」をお土産にぶら下げ、ふらつく足取りで帰路につきました。
 生まれ来る命、去り行く命…あらゆる命に思いを馳せる旅でした。

P.S. 次回からはもっと短いのを書きます。