新年初合奏を終えて2011年1月17日
前回の原稿で「ゆっくり」について書きました。
なので新年初合奏は、特に「慌てないでいこう」と心掛けました。
1/7(金)のレギュラー合奏、
続いて1/10(月)が成人の日ということでバンビオ・メインホールを借りての合奏。
スパーク作曲の交響曲第1番「大地、水、太陽、風」です。
結果から申しますと、とことん小返ししたあと、
第1楽章「大地」を全部、
第2楽章「水」を全部、
そして第3楽章「太陽」の一部分を
ほぼ通しに近い形で経験しました。
(第4楽章「風」は昨年の内に一度、通してみてあります)
つまり、演奏会の半年前に、
これだけの大曲をほぼ一通り見渡せたことになります。
おそらく5月くらいにやっとかな、というのが私の構想だったので、
かなりいい感じだな、と思います。
しかし、油断大敵。
第3楽章「太陽」は、ほんとに一部分しかやっていないのです。
シンセサイザーの登場するところは、まだまだこれからです。
また、ほぼ一通り見渡したといっても、
全楽員で経験した訳ではありません。
同一小節内・同一オクターヴの臨時記号を、
全員が落とさないようにならないと音の濁りは取れないのですが、
これもまだまだこれからの作業。
そして次に、まだまだテンポが遅い、ということを挙げたいところ。
ですが、前回と今回の稿のテーマ、「ゆっくり」に則しまして、
私は「焦る必要はない」と敢えて訴えたいと思います。
多くの人が、
「まあ、すごくゆっくりのテンポなのでなんとかついていけたけど、
速くなったらとても無理や。
個人練習ではテンポアップして、何小節も何小節もさらっておこう」
と考えるかもしれません。
しかし、長年の経験から言わせてもらいますと、これは逆効果です。
せっかく積み上がっていこうとしているテクニックが、
根底から崩れてしまう危険が大きいのです。
京都で高校ラグビーの雄といいますと、やっぱり伏見工業高校だと思います。
全国制覇4回の名門です。
伏見工というと、ドラマ『スクール・ウォーズ』の基となったことでも有名。
そのドラマの原作『落ちこぼれ軍団の奇跡』を読んで印象に残ったのが、
基礎動作の「ゆっくり」した練習、というか確認作業。
全国初制覇の前に、山口良治先生は外国人コーチを招聘したそうです。
そこで指導されたのが前述の「ゆっくり」練習。
ラグビーの練習というと、
激しい体と体のぶつかり合いを何度も繰り返すという勝手なイメージしかなかったので、
とても印象に残ったことでした。
私の高校時代の恩師、宮本先生も、
やはり「ゆっくり」練習を、十分からだに染み込むまで指導なさる方でした。
「ああ、こんなに難しいパッセージが、ゆっくりテンポならできた!」
というのは、とても自信になりました。
「ゆっくり」でできないものは、「速く」してもできないし、
いきなり「速く」しても、なんとなくやった、という感じしか持てない。
へたをすると「できたような気がする」だけで、
作り上がることが何もできていないことが多い。
テクニックを積み上げていくには、
「ゆっくり」から取り組んでいくのが一番なんだと思います。
諺にも「急がば回れ」と申しますし。
スパークの中から具体例を引きますと、
29小節から36小節にかけての、木管や鍵盤の「spiky」。
特に36小節が厄介なんですが、
29~36を流して練習しても、36の確実性が上がる訳ではありません。
36だけ抜き出して、ゆっくりさらうことが大切です。
それでも難しければ、小節を前半と後半に分けて練習。
8分音符ごとにロングトーンして確認作業するのも大事です。
29~36を流すのは、それから後のこと。
なんなら、流すのは合奏任せにしたっていいと思います。
新年早々、長々とダラダラと書いてしまって申し訳ありません。
とにかく、足下を固めながらじっくりと歩んでいきたいものです。