2011年07月

大歌手2011年7月29日

演奏会が終わってこの方、全く練習に参加できていません。
演奏会前にうっちゃっておいた仕事のツケが溜まっていました。
加えて、7月になって新しい仕事も降りかかってきました。
覚悟していたこととはいえ、処理しきれず、
楽員の皆さんには大変ご迷惑をおかけしております。

7月24日に至る一週間は特に忙しかったのですが、
そんな日々の中、とても印象に残ったことがあります。

7月19日、
『NHK歌謡コンサート』に坂本冬美さんが出るというので、
気合を入れてテレビの前に陣取っていました。
すると、坂本冬美さんの出番の前に、
旗照夫さんという、78歳の御大が登場。
お恥ずかしながら、初めてお見かけしました。

昭和33年のヒット曲『あいつ』を歌われたのですが、
まあ、その声音の素晴らしいこと、素晴らしいこと!
太く、優しく、力強く、甘い…
超一流のホルンの音色が思い浮かびました。

聞くと、毎日、
腹筋210回、背筋も210回、欠かさないそうです。
(もしかすると私の聞き違いで、200回だったかも)
鍛えている人は本当に「違う」のですね。

ピアノ協奏曲2011年7月19日

高校時代、いろいろなことに行き詰っていた。
あれこれ思い悩むうち、何もかもが嫌になっていった。
そんな心情にそっと寄り添ってくれたのが、
モーリス・ラヴェルの『ピアノ協奏曲ト長調』だった。

小澤征爾指揮・ボストン交響楽団、
ピアノはワイセンベルク。
当時はレコードである。
そのレコードは義理の兄からの借り物で、
カセットに落として何度も何度も聴いた。

特に第2楽章の静謐さは、
疲れた心を癒してくれた。

不思議と、雪景色と合う。
今でも雪が積もると、CDをかける。
(現在、まともに動くカセットデッキが我が家にはない)

※※※

先日、イニャリトゥ監督の映画『ビューティフル』を観に行った。
ハビエル・バルデム主演、
余命数ヶ月と宣告された男の生き様を描いた映画だった。

その中で、ラヴェルのピアノ協奏曲第2楽章が、
とても印象的に用いられていた。
パンフレットによると、
この曲にインスピレーションを受けたことが
この映画を創るきっかけになったのだと、
イニュリトゥ監督は語っている。

なぜかは説明できないが、
この曲には魂を揺さぶる強い何かがあるように思える。

2011年7月15日

第24回せせらぎコンサートで最も苦労したのは、なんといっても、
フィリップ・スパーク作曲『交響曲第1番“大地、水、太陽、風”』でした。

とにかく合奏が前に進みません。
いや、安直に前に進めたら細部が煮詰まらずに滅茶苦茶になるのが明白だった。
プレイヤーの皆さんには、かなりの辛抱を強いましたね。

結局、通したのは3回だけだったと思います。
5/1(日)と、6/26(日)と、あと本番。
(ゲネプロは途中で何回か止めたと思います)

よくこれだけの通し稽古で本番やりましたな。

約40分の演奏時間、私には旅に思えました。
スコアに並んだ音符群が時刻表に見えたりしました。

※※※

今回、この曲に限らず、リハーサルをどう進めるかに心血を注ぎました。
(リハーサルとは、普段の合奏のことです)
あまり長い小節を通すことをせず、
細かく切り分けながら、
曲の構造を理解してもらうことに意を注いだつもりです。

なので、私にとって本番は、公開している最終リハーサルでした。
伝えたいことが山ほどありました。
緊張している暇もありませんでした。

本番という旅はアッという間に終わりました。
それがどんな旅だったか、自分自身では評価できません。
が、やるだけのことはやった、と思っています。

感謝2011年7月8日

2011年7月3日、日曜日。
大きな事故もなく、第24回せせらぎコンサートを終えることができました。
ひとえに、ご協力いただいた関係各位のご尽力の賜物です。
心より御礼申し上げます。

そして何より、コンサート実行委員はじめ、
定期演奏会開催のために力を尽くしてくれた「せせらぎPlayers」の皆さん、
本当にありがとうございました。
普段、演奏面での叱咤激励ばかりで、
裏方仕事に対する労いの言葉もかけておらず、済みません。

今日はここで、演奏以外にどんな仕事があるか、
私の錆びついた頭で考えて見ましょう。

本番の会館の予約。
会館との打合せ。
選曲。
企画立案。
予算決定。
出演費用集金。
楽譜手配。
企画用の大道具・小道具の制作。
練習会場確保。
プログラム制作。
司会原稿制作。
司会。
録音。
ビデオ撮影。
写真撮影。
看板制作。
受付。
会場整理。
舞台設営。
大型楽器運搬。
レンタカー手配および運転。
借用楽器手配。
昼食弁当手配。
弁当のゴミ処理。
楽屋の鍵管理。
打ち上げ幹事。
楽団運営とりまとめ。

(抜けてないかな? 心配やなぁ~)

こういった様々な仕事がベースにあってはじめて、
演奏に集中していくことができます。
どれひとつ欠かせない仕事ばかりです。
それを、演奏者自身が分業して行ってくれているからこそ、
演奏会が成立するのです。
本当にありがとうございます。

今回、特に、音楽活動できる有難さを痛感しております

凛として立つ2011年7月2日

6月26日(日)、本番1週間前。
本番の日までに全曲合奏するラスト・チャンスでした。
もちろん、金曜日のレギュラー合奏がもう一回あるのですが、
さすがに金曜日には全曲できないのです。

できるだけいい演奏になるよう心掛けてきたつもりです。
ですので、プレイヤー諸氏にはストレスを与えたと思いますが、
通すことを殆んどせず、小返し中心に進めてきました。
昨年とは全く逆のアプローチです。

全曲通すのは、当日のゲネプロが初めてでもいいと割り切っていました。
が、ぶっ通しというのは、やってみないと分からないことを洗い出してくれるものです。
例えば、曲間で移動する際、ミュートを持っていくのを忘れるとか、
曲中の打楽器の移動に無理があるとか。

なんとか時間を作って初の全曲ぶっ通しにチャレンジ。
プレイヤーの皆さんには、大変しんどい思いをさせました。
が、ここで見つかった問題点を、
各自解決してくださることを期待します。

※※※

思えば、ここに至るまで、非常に辛い日々が続いています。

『坂の上の雲』の明治も、そして今も、
大きな国難に直面しているという点では似ていると思います。

NHKスペシャルドママ『坂の上の雲』のテーマ音楽『Stand Alone』を作曲する際、
久石譲さんは、
“明日に向かって「凛として立つ」明治の人々の美しき姿”を描こうとしたそうです。
(“”内はサントラ盤のライナーノートから引用)

明治の骨太な人々には及ぶべくもありませんが、
覚悟を決めて本番の舞台に臨みたいと思います。