2010年08月
楽器演奏に、利き手による有利不利はあるのだろうか?
せせらぎは、よく、フィリップ・スパークの作品のお世話になっている。
彼は左利きだ。
少年時代にヴァイオリンを弾いていたそうだが、
限界を感じてトランペットに転向したそうだ。
弓は腕全体を使うから難しくて、
ピストンならば利き手でなくても大丈夫なのだろうか?
私も左利きだ。
かつてはホルンを吹いた。
ホルンといえば左手でキーを扱うが、
左利きの私が有利だと感じたことはなかった。
私よりフィンガリングが上手な右利きの奏者は、
まわりにゴロゴロ居たものだ。
左利きの松崎しげるさんは、
少年時代に左利き用のギターを買ってもらえず、
仕方なしに右利き用のギターを左手で弾いていたという話を聞いたことがある。
右手で押さえる弦のポジショニングも逆だし、
左手のアルペジオも逆。
きっと「掻き上げる」ことが多いに違いない。
東北楽天ゴールデンイーグルスの岩隈投手。
昨年のWBC決勝戦に先発、
見事ゲーム・メークした日本を代表する右腕である。
ところが、実は彼は左利きなのである。
牛丼チェーン店のCMで、左手にお箸を持って食べるシーンがあったので分かった。
右投げ左打ちという野球選手はとても多いが、
左利きなのに右投げというのは岩隈選手しか知らない。
利き手と逆で、それもプロの投手として一流などというのは、
並大抵でない苦労があったと思う。
この世の中、8割を占める右利きに有利にできていることが多い。
2割の左利きは文句もいわず工夫を重ね生活している。
ねぇ、左利きのクラリネット奏者・こまっちゃんはどう思う?
阪急電車2010年8月17日
夜眠れず、昼間に眠くてしようがない。
休日だけでなく、勤務日もおんなじ。
これじゃあ駄目だ!どげんかせんといかん!
昼に疲れきって、夜は眠くて眠くてしようがない、
というふうに変えていかんと。
そのためにはまず、涼しい阪急電車でバク睡などしとっては駄目だ。
快適なんやから、ここで読書にいそしもう!
と思って買った本の名前が、『阪急電車』。
阪急梅田駅の茶屋町口改札を出てすぐ、
ブックファーストがある。
バク睡後、ここに立ち寄った。
入ってすぐに先述の『阪急電車』という文庫本が平積みしてあった。
というより山積みである。
最初、歴史とか、車両の解説とかの系統の本かと思ったが、
実は有川浩さんの小説だった。
帯には、2011年に映画が公開されると書いてある。
初めて読む作家さんだが、
出勤前であまり物色している時間もないので、
とにかく買うことにした。
で、読み始めてみると、これが止まらない!
阪急今津線の宝塚駅から西宮北口駅間で乗降する登場人物たちが、
出会ったり、別れたり、言い争ったり…
これが面白くて仕方ないストーリー展開なのです。
基本はラブ・ストーリーと言っていいかな。
阪急京都線で、阪急梅田駅で買った『阪急電車』を読む不思議さを感じながら
おかげで眠ることなく車内を過ごせるようになりました。
しかし困ったことに、あんまり面白いんで、
帰宅後もチビチビ呑りながら深夜まで読書するようになってしまいました。
完全に睡眠不足です…
ところで、作者の有川浩さん、皆さんはご存知でしたか?
私はずっと「ありかわ・ひろし」さんだと思って読んでいました。
巻末の解説を俳優の児玉清さんが書いておられるのですが、
「素敵な女流作家」と評しておられるのです。
んっ?と思って最終頁をめくると、ルビがふってあって、
「ありかわ・ひろし」ではなく、
「ありかわ・ひろ」さんだったのです。
大変失礼をいたしました。
暑い。ホントに暑い。
…って書いたからってどうなる訳でもないが、とにかく暑い。
暑くて眠れない。
かと言って、クーラーが効いた部屋では寒くて眠れないから、
自然の風と団扇の風に頼るしかない。
仕方ないから、現在合奏中の曲目のシミュレーションを頭の中でやってみる。
演奏会の前だと、疲れているから数小節で眠りに落っこちる。
疲れているのは同じだが、こうも暑いと全然睡眠に入っていけない。
いつの間にかちょっと眠ったようだが、
浅い眠りからすぐに目覚めてしまう。
時計を見ると、さっき見た時から30分も経っていなかったりする。
体中、寝汗でぐっしょり。
またしばらく眠れない。
そんなこんなで朝を迎える。
まぶしくて、もう寝ていられない。
こうして睡眠不足の一日が始まる。
午前中はなんとか持ちこたえるのだが、
お昼ご飯の後、もう眠たくて眠たくて仕方なくなる。
床にどでかいタオルを敷き、籐の枕を置いてゴロンと横になる。
あっという間に眠りに落ちてしまう。
昼間の方が暑いし、明るいのに、
なぜこうもあっさりと眠ることができるのだろうか?
夕方、ようやく復活である。
調子良くビールをあおり始める。
飯も旨い。
焼酎も進む。
どんどん体温も上がっているだろう。
さあ、就寝の時間だ。
全く眠れない。
…お恥ずかしながら、これが私の休日です。
翌日、ほとんど徹夜明けみたいな状態で出勤です。
阪急電車の涼しい(へたすると暴力的に寒い)車内でバク睡に陥ります。
梅田で起こされるまで全く気付きません。
まるで呑んだ帰り道みたい…
日々、反省であります。
とは、色っぽい名前の呑み屋である。
場所は西木屋町の雑居ビルの7階。
経営者はH.U.さんという、はげ茶瓶のマスター。
どうも名前とそぐわない。
もともと、マスターのおばさんの玉江さんという方がスナックを始め、
『スナック玉江』という店名にしたそうだ。
そして今から25年前、H.U.さんがおばさんからこの店を引き継いだと聞いている。
私が初めてこの店を訪れたのは、ちょうどその頃である。
堀川吹奏楽団(せせらぎの旧名)の大先輩、
トロンボーンのT.I.さんに連れられてだった。
まだ二十歳そこそこだったので、先輩方と一緒か、
せせらぎコンサートの打上げ?次会という時にしか行ったことがなかった。
でも、私だけでなく、せせらぎのメンバーにとって、
玉江は安心して呑んで話せる溜り場となっていく。
35歳を過ぎた頃からだと思うが、
呑み歩くのは一人でフラッと行くのが気楽になりはじめた。
玉江でちょいと呑んで帰るというのが多くなった。
特に、勤務シフトが土曜日勤、(日)(月)休みとなってからは、
ほぼ毎週土曜日に玉江で呑むというのがお決まりのコースとなった。
最初はマスターが一人で切り盛りしていらしたが、
ある頃から、もともとお客さんだったM.I.さん(通称マリちゃん)がお手伝いするようになる。
このマスターとマリちゃんには、せせらぎコンサートでもお世話になった。
『美女と野獣』を演奏した際、マスターの渋い声でナレーションを入れてもらった。
マリちゃんには何度も演奏会の司会をしてもらった。
マスターとマリちゃんとは、よく麻雀もした。
パーカッションのK.T.さんと私の4人で、というのが多かったが、
サックスのY.T.さんも入って5人(1人は休憩)という場合もあった。
お店を朝までやって、一眠りされた後、昼過ぎからスタートするのだが、
5人打ちの場合、マスターは夜になっても残って、
マリちゃんが店を開けに行くこともあった。
「ええんかいな?」と思ったものだ。
印象に残っているのは、麻雀そのものよりも、麻雀をした「ある日」のことだ。
それはシドニー五輪の女子マラソンの日、そう、高橋尚子選手優勝の日だ。
レースが行われたのはちょうどマスターもマリちゃんも一眠りしている時間帯。
麻雀を始める前に私がこの話を振ったら、
お二人ともすごくビックリしておられた。
夜の仕事とは、かくも厳しいのだなと感じた。
※※※
勤務シフトが変更されて約2年、玉江に通うペースがぐんと落ちてしまっていた。
そんな中、マスターから手紙を頂いたのは、
今年の演奏会の2日前の7月2日だった。
遂にその日が来たか、という予感があった。
開封すると、7月31日をもって閉店するとあった…
演奏会の打上げの後、寄らしてもらおうかと思っていたが、やめた。
一人静かに訪ねたかったからだ。
山鉾巡行も終わった7月19日、海の日に伺った。
マスターとマリちゃんと私の3人で静かに呑ませていただいた。
そして閉店一日前の7月30日(金)、練習後にもう一度行った。
大混雑である。
常連さんの中に混じってチビチビ呑っていたら、
せせらぎOBとなられたパーカッションのK.T.さんとサックスのY.T.さんが来られた。
共に酌み交わすのは何年ぶりだろうか?
いずれにせよ、玉江が引き合わせてくれたことは確かだ。
長年、心の中にあったわだかまりが氷解していくように感じた。
玉江さん、ありがとう。
マスター、マリちゃん、また麻雀しましょう。