みちのく一人旅~その5~2011年11月30日

11月11日(金) 天気:霧→晴れ→曇り→雨 歩数:9079

すごい霧。一面、真っ白。
北上川流域の冬の朝としては、ごく普通のことだそうです。

そんな霧の朝に向かったのは、珍しく、史跡ではありません。
歴史テーマパーク「えさし藤原の郷(さと)」です。
前九年合戦・後三年合戦・奥州藤原氏の興亡をテーマにしています。
大河ドラマや映画のロケにもよく使われています。
よく、「協力:奥州市(以前は江刺市)」というクレジットを見ませんかな?
ほぼ間違いなく、ここでロケが行われたということです。

京都で言えば「東映太秦映画村」に似ているかもしれません。

できたのは、1993年。
大河ドラマ『炎立つ(ほむらたつ)』も1993年。
テーマパークに合わせてドラマができたのか、
ドラマに合わせてテーマパークが作られたのか、
その辺のことはよく知りません。
ただ、一番最初にロケでここを使ったのが『炎立つ』なのは確かです。

笑えるのは、フジテレビ『逃走中』でもよく使われていることです。
園内に、その案内板がたくさんありました。
まぁ、確かに隠れる場所、いっぱいあるけど…
とにかく、私が訪れた日にロケがなくて一安心です。

到着してまずはじめにしたのは、
大きなリュックサックからデイパックに最低限の荷物を移す作業。
手頃なベンチがあったので、気にせずベタッと座って。
作業が終わって立ち上がると、何やらお尻が冷たい…
ベンチが濡れていたのでした。

そう、この時点では霧は晴れ、日が射しているものの、
朝から霧が立ち込めていたのでした。
ついでに言うと、霜も降りていました。

前日とはうって変わった寒さ。
最小限に絞り込んで持ってきた着替えの中から、この日の朝、
冬仕様のズボン下(ユニクロのヒートテック)に履き替えたばかりだったのです。
「着替えた途端に汚したり濡らしたりする」
旅のジンクスは生きています。とほほ…

「政庁」を再現した朱塗りの建物で、
着物ではないけれども、何となく平安時代っぽい装束を着た、
女性スタッフに呼び止められます。
(眼鏡は仕方ないにしても、足元がスニーカーなのはどうしたものか…)

えさし藤原の郷の「政庁」

「朝一で来てくださったんですか!ありがとうございます!」
とてもハキハキして、気持ちよい応対です。

そういえば、私の朝は早い。
宿に着いて、まずお風呂をいただき、18時に夕食(もちろん、呑む)。
もう一度お風呂に入って、歯を磨いたら、21時には意識朦朧。
灯りを消してお布団に潜って、気が付いたら朝の3時とか4時とか。
朝風呂に入ってから二度寝したら、もう朝食の7時。
そりぁ、どこ行っても朝一です。

「この政庁には、歴史がよく分かるパネルが展示してありますよ。
じっくりご覧ください。」と、先程の女性スタッフ。
はい、ありがとね。ほんじゃ、ゆっくり観させてもらいますわ。
って行ったっきり、おそらく15分~20分、じっくり読んでたものだから、
女性スタッフ、手持ち無沙汰だったんでしょうね。
携帯でメールを読んではりました。
(他にお客さんもいないしねぇ)

慌てて携帯をしまう女性スタッフ、
「今日はお時間ありますか?
じっくり体験コースだと、2時間くらい、
お急ぎコースだと、40分くらい。
どちらになさいます?」
そらまぁ、せっかく来たんだから、じっくり行きますわいな。

ってことでじっくり体験コースを歩き出すんですが、
お急ぎコースに合流するまでの約2時間、
全く誰にも会いませんでした。
またもや一人っきりです。

「経清(つねきよ)館」と名づけられた、
「豊田館(とよだのたち)」を再現した建物の一部は、
東日本大震災のために損壊しており、工事中でした。

2日前に訪れた「河崎柵」や、
翌日盛岡で訪れる予定の「厨川柵(くりやがわのさく)」が再現されていて、
とても興味深く見学いたしました。

河崎柵

 

が、覆堂なしで再現された「金色堂」、そして「無量光院」。
これらはおもちゃでしたな。

ところで、「アラハバキ」が再現されているところがありましたが、
この「アラハバキ」って、一体何なんでしょう?
私なりに勉強して行ったのですが、
実は今もってよく分からないのです。

アハラバキ

 

高橋克彦さんの『炎立つ』では、
安倍氏や奥州藤原氏を陰で支えた物部氏が信仰したのが「アラハバキ」の神。
古代東北の民俗信仰のようなのですが、
やっぱりよく分からない。

ここ「えさし藤原の郷」では、
秋田県鹿角(かづの)市にある「大湯環状列石」をモデルに、
信仰の対象であった神の宿る「石」を再現しています。

再現しただけの「石」であるにもかかわらず、
夥しい数のお賽銭が置かれていました。
中には石の割れ目に押し込まれた賽銭も…
園内の一番奥であることもあり、森閑とし、
とても厳かな雰囲気が漂っていました。
本当に再現しただけの「石」なのでしょうか?
実は、密かに物部氏の子孫が建てたものだとか?
作った後、本当に霊が宿ったりしたとか?

※※※

さて、12月10日公開の映画『源氏物語-千年の謎-』のロケ、
やっぱりここで行われました。
生田斗真君(光源氏)が朱塗りの御殿の前で舞うCMをよく見ますが、
あれはきっと「政庁」でロケされたのだと思います。

勤務先に派遣社員としてきてくれているとある女性が、
生田斗真君の大ファンで、
ロケ地に行ってきた話をすると、
えらく喜んでいました、最初は。
でも、彼女自身が行った訳ではないのです、
私がこのネタをしつこくするもんだから、
最近、何だか冷たいような…