その楽団特有の「ノリ」2013年4月30日

高校3年生の夏の吹奏楽コンクールが終わり、
翌年1月の最後の定期演奏会の練習に参加しだすまで、
3年生はしばらくの間引退して受験勉強や就職活動に勤しむのが、
約30年前の母校の吹奏楽部のあり方でした。

11月くらいだったと思いますが、
久しぶりに合奏に参加してみて、
「ノリ」というか「グルーヴ感」というかがまるで変わっていて、
違うバンドにやってきたみたいでビックリしたことがあります。

その日、合奏の1曲目だったのは『サンチェスの子供たち』という名曲。

定期演奏会本番では、
同期のエース・トランペッター・ヒグチ君がフリューゲルホルンに持ち替え、
朗々とソロで歌い上げました。
(「エース」というと野球部の背番号1のピッチャーを思い浮かべますが、
ヒグチ君はまさしく「エース」でした)

でもこの初日は、ヒグチ君のソロの印象よりも、
2年生の新部長・スズキ君のドラミングのことが頭から離れないのです。
そもそも『サンチェス』のドラムのリズムは凄く変則的なのですが、
それに加えてスズキ君のテンポが微妙に速くなったり遅くなったりするので、
私はINのタイミングがなかなか取れずに苦労しました。
が、1・2年生は、平気で合わせているのです。

この時、宮本先生の教えがふと頭をよぎりました。
「音楽は、正しいとか正しくないとかじゃない」

スズキ君のリズムは、正しいかどうかで言えば、きっと正しくないと思います。
でも、そんなことは問題じゃない。
いかにその世界に入り込んで、一緒にやるかが大事なんだ。
それこそがアンサンブルなんだ。
私はそう解釈しました。

それから何回かの合奏で、
私も1・2年生のグルーヴ感に混じり込むことができました。
それからは凄く気持ちよく演奏できました。
新生バンドに参加させていただくようでとても新鮮な心持ちでした。

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せせらぎの演奏にしても、
新しく入団して来られる方が「えっ」と思ってしまうような、
独特なグルーヴ感がきっとあるのでしょう。
自分達では気付くことのないような。
だけど、きっとそれでいいのだと思います。