補正2015年10月7日

「音楽は “ 注意の芸術 ” だ」
これは中学時代の恩師、S先生の言葉。

S先生に指導していただいたのは中学1年生のときだけでしたが、楽器を始めたての私にとり、強烈な印象を残した言葉の数々。
最も印象深いのが、これです。

楽器を演奏すること、特に他の人と合わすことは、車を運転することに似ている気がします。

自分の運転が正しい、自分の速度は法に従っている、と、いくら主張したところで、周りの流れに乗ることができていない運転は、いい運転とは言えないのではないか。
私は、そう思うのです。
周りに注意を払うことができていないと、リズムが良くないですわな。

楽器も同じ。
周りと如何に馴染むか。

例えば、テンポ。

人間が演奏していて、一定のテンポで音楽が進むということはありません。
一定のテンポのように思えて、実はちょっと揺らいでいる。
その方が自然。
完全な「テンポ一定」はないと思います。
(機械がやるなら別ですが…)

「指揮をよく見よう」と言います。
もちろん、大切なことです。
指揮者のテンポが揺れること、あるいは意図的に揺らすこと、当然ありますから。

が、それだけでは不十分。
テンポは自然と揺らいでいるものです。
周りの演奏にアンテナを張り巡らし、感じとるように注意することが大切。

自分で思っているものと、周りで流れているものの差を感じ取り、補正し続けるのがアンサンブルというものなのでしょう。

テンポを例にとりましたが、それだけに限りませんわな。