『楽譜の風景』を読み続ける2017年6月8日

岩城宏之著『楽譜の風景』を読んでいると、
まだまだ最初の方なのに、
僕の心情にピタッと嵌る事柄が沢山書いてあります。
偉大なる岩城宏之さんと比肩するつもりなど毛頭ありませんが、
たとえアマチュアでも、
指揮者というのは同じような思いをするものなんだなぁ~と。

岩城さんは、
N 響指揮研究員だった若かりし頃、
定期演奏会のプログラムが急きょ変更となり、
三日間徹夜して、
プロコフィエフの『交響曲第5番』のスコアから、
パート譜を作っていったそうです。
コンピュータもコピー機もない時代。
そう、手書きで!

第1ヴァイオリン奏者が仮に14人いたとします。
2人で一つの楽譜を見るので、
第1ヴァイオリン用だけで7冊分写譜しなければならないのです。
すべて手書きで!

気の遠くなる仕事ですね。

そう思うと、現代は便利です。
コンピュータ浄書が当たり前になりましたから。

が、ダメダメな楽譜はなくなりません。
いや、もしかすると増えているかも知れない。
レイアウトを気にしていない楽譜は読みにくくてしようがないし、
そもそも楽典の知識なしで書いているとしか思えない楽譜は解読困難。

どんなに便利なツールが出てきても、
やはり大切なのは「人」なのです。

岩城さんが若い頃には、
作曲家の記譜ミスまで修正してくれる、
優秀な写譜屋さんもおられたそうです。

現代の音楽出版にも、
本来はそこまでの精度が求められると思うのですが、
間違いだらけの楽譜を直すことが私自身の勉強になっているとも言えるし。。。

これ以上は愚痴になるのでやめときます。