ピッコロ A & B2014年7月7日

打楽器は一人でいろんな楽器を担当しますが、
管楽器も一人でいくつかの楽器を持ち替える人がいます。
例えば、
フルート ⇔ ピッコロ
アルト・サックス ⇔ ソプラノ・サックス
トランペット ⇔ コルネット
というように。

このような楽器持替が発生する人に、
専用の楽器スタンドを用意することを推奨してきました。

楽器スタンドに楽器を立て掛けているのって、
なんかカッコいいでしょ。

でも、本当の理由はそうじゃなく、
楽器の安全のためなんです。

普通は楽器を椅子の上に置いていても、
そうそう動くもんじゃありません。
が、曲の途中で大慌てで置いたせいでコロコロ… ガッシャーン!
トホホ。。。
これを避けたいのです。

もちろん、スタンドに立て掛けるのだって時間がかかります。
大急ぎの持替には対応できませんが、
転がる危険は格段に減ります。

(大急ぎの場合は、膝の上に置くか、いっそのこと床に置いてしまうほうが安全でしょうな)

また、持替用の椅子を用意すると、
それだけ楽員の座るスペースが狭くなっていきます。
限られた舞台スペースを有効活用するためにも、
できるだけ椅子を減らしたいのです。

さて、第27回せせらぎコンサートに来てくださった方は、
木管第一列に、
楽器立て用のピンが3本付いたフルート・スタンドの存在に気付かれたでしょうか。
最前列とはいっても、意識していないとなかなか目がいかないかも知れませんね。
もちろん、楽員の中にも気付いていない人がいると思います。

黒と黄色のカッコいいスタンド。
野球ならば阪神タイガース・カラー。
「宇宙戦艦ヤマト」ならば航空隊のカラー。
「超時空要塞マクロス」ならばフォッカー少佐が搭乗し、
彼の戦死後に一条中尉が引き継いだ可変戦闘機ヴァルキリー、スカル・ワンのカラー。
私の腕時計、Gショックのカラー。

済みません、脱線しました…

このスタンドに立ち並ぶのは、
フルート × 1本と、ピッコロ × 2本。
以前に「ひとりごと」に書いたピッコロ(A)&(B)。
その両方を使い分けてもらうために用意してもらいました。

担当は、もちろんM井さん。

ピッコロ(B)は、
とても柔らかい響きが特徴です。
それが、せせらぎの音に乗っかるのが気持ちよく、
M井さんに「Bを使ってくれ」とお願いしたのですが、
ピシッと決めてほしい場面で決めきれない。

どうしたものかと思っていたら、
M井さんのほうから、
「場面場面によって、AとBを吹き分けてみましょうか」という有難い申し出が!

突き抜けるように通る音のピッコロ(A)、
ふんわり柔らかいピッコロ(B)。
いかがでございましたでしょうか?

よく分かった方もいらっしゃれば、
分からなかったという方もいらっしゃることでしょう。
聴き分けるのは難しいかも。

ある曲のある箇所だけ抜き出して、
(A)と(B)とで交互に演奏してもらうのを聴けば、
ああ、なるほど、となるかも知れません。

こんな微妙な違いを追及していくのが、
私たちのライフ・ワークなのです。

しかし、違いの分かる男と女になっていく道というのは、
なかなかに厳しいものであります。

そして、厳しいとともに何だか楽しいのですな。

情念の嵐2014年7月7日

今回のプログラムで私にとって最も難しい曲であり、
なおかつもっとも思い入れの強かったのが、
アルフレッド・リード作曲『第5組曲』の第3楽章 “ 山伏神楽 ” でした。

私が知っていたリードの組曲は『第4組曲』までなので、
プログラムされるまでは全く知りませんでした。
が、スコアを読んでいくうちに、
どんどん惹きつけられました。
特に惹きつけられたのが “ 山伏神楽 ” です。

まず、技術面からいうと、
6/8拍子であることが難しい。
さらに、テンポが一定なので、
それを維持するのが難しい。

音楽面では、感情を込めすぎてヘトヘトになってしまう。
石川さゆりさんの『天城越え』が思い起こされて、
情念の渦に巻き込まれていくような感じなのです。

ろうそくの火が静かに消えていくかのように、
ヴィブラフォンの最後の一音が消えゆくまで、
一刻も気が抜けません(どんな曲でもそうですが…)

しかし、プログラム一曲目の『マーチ「ブルースカイ」』の入り方が凄く良かったので、
「あ、これなら “ 山伏神楽 ” も上手くいけそうやな」
と直感しました。
毎日プログラムを一周する鼻歌トレーニングを積んできたので、
アンコールまで含めたすべての曲が一つの流れの中にあるからです。

感想は、聴いてくださった方々一人一人によって違うでしょうし、
演奏者にとっても一人一人違うでしょう。
私としては、金管楽器を中心とした濃密な音の塊によって、
情念の嵐が濃密に表現できたのではないかと思っております。