『銀平町シネマブルース』を観る2023年2月20日

このところ、映画鑑賞後にパンフレットをあまり買わなくなりました。
観る度にパンフを買っていたら読むのに追われまくるのと、
これまでに買い過ぎて置き場がなくなってきたから。

『銀平町シネマブルース』のパンフを買ったのは数か月ぶりのことでした。

この作品のことは、確か新聞記事で知ったと思います。
「きっとじんわり沁みてくる映画やろな、
ほんでもって失礼ながらほぼ人が入らへん映画やろな」
と想像していたのですが、
2つともドンピシャでした(返す返すも失礼ながら)

映画の中で「観客が5人しか入ってない。しかも常連さんだけ」というセリフがあります。
私がアップリンク京都で観たときも、私を含めて奇しくも5人でした(またもや失礼ながら)
常連さんかどうかは分かりませんが。

架空の映画館「銀平スカラ座」を舞台とした『銀平町シネマブルース』。
パンフによると、埼玉にある「川越スカラ座」というミニシアターを借りての撮影だったそうです。
「山田洋次監督の『キネマの神様』を撮影したのもこことちゃうやろか?
雰囲気、よう似てるなぁ~」
と思いながらパンフを調べるのですが、
『キネマの神様』のことは何も書いてありません。
結局、ネットで調べて、
『キネマの神様』で登場する架空の映画館「テアトル銀幕」のロケ地も「川越スカラ座」だと分かりました。
(パンフに文句を言ってる訳ではないですよ)

映画の中で、若い映画監督が、
「お客さんが余韻に浸りきってエンドロールが終わっても立ち上がれないような映画、
いつか撮ってみたい」
と言うシーンがあります。
そこまでの映画、なかなか出会えるものではありません。
が、昨秋観た『月の満ち欠け』は正にそんな映画でした。
立ち上がれなかったのは私だけでなく、
殆どの人がなかなか立てなかったのを覚えています。

キャストも素敵。
吹越満さんや中島歩さんが素晴らしかったのだけど、
群を抜いて良かったのが宇野祥平さん。
この人が出てる映画で外れに当たった経験はないけれど、
今回、特に素晴らしかった。

ホームレスの役なんですが、
何としても月に2回は映画館で映画を観るという設定。
脚本の方が、実際にそういうホームレスの人と出会ったことがあり、
作品に反映されているそうです。

宇野祥平さんのセリフに、
「映画って、いいもんだよ」というのがあります。

そうなのよ、
映画っていいのよ。
そして音楽もいいのよ。
飲食店で呑んだり食べたりするのもいいのよ。
決して不要不急じゃないんや。

『銀平町シネマブルース』を観て、
そんな思いを強くしました。

映写技師の役は渡辺裕之さんでした。
これから公開となる作品はまだあるらしいのですが、
この映画の撮影後に亡くなっておられるので、
もうお会いする機会も少ないのだと思うと残念でなりません。