小さな旅に出る~その2~2012年11月8日

ずっと前のことですが、
祇園を始発として
五条通から老坂峠を抜けて(つまり国道9号線を走って)亀岡に至り、
それから能勢に入り妙見口を終着点とするバスがありました。
子供の頃、
このバスに乗って能勢へお墓参りに行ったことがありますが、
それはそれは長大な旅でした。

いつの頃からか、
この直通路線は分断され、
亀岡市の西の端、
大阪府のすぐ東にある
本梅(ほんめ)車庫で乗り継がなければならなくなりました。
車庫といっても、
田畑の真ん中にバスが数台停められる広場と
3~4人座れるくらいの長椅子があるだけ。
亀岡駅から乗ったバスを本梅車庫で降ろされると、
次の妙見口行きのバスの発車まで1時間くらいあり、
のんびりとお弁当をいただいたものでした。
それはそれは長閑な旅でした。

大人になってからは自分で車を運転していくようになり、
バスがどうなったのか分からないのですが、
どうも運行している気配がないのです。
本梅車庫は荒地になっていたような…
多くの人が自家用車で移動するようになり、
ローカルなバスは時代遅れの代物になってしまったのでしょうか。

今の私はといえば、
まるで時代を逆行するかのように、
マイカーを手放してしまいました。
家に車があるのに酔っ払ってタクシーで帰るなんて、
馬鹿馬鹿しくなってきたのです。
歩くのが大好きで、
京都市内で暮らすのに自家用車の必要性を感じなくなってもいましたし。

せせらぎにも若い人たちが増え、
楽器運搬のために車を運転してくれる人も沢山います。
もう、私が運転しなくてもいいだろうということで、
運転そのものも2年くらいしていないのではないでしょうか。

そんなこんなでレンタカーを借りることすらせず、
今回のお墓参りは亀岡駅からタクシーで能勢に行きました。

17年前に父を見送った際、
石材店に墓所を整理していただき、
新たに父を筆頭とした累代墓を建てました。
今回のお墓参りは、
今年亡くなった母の納骨を前に、
霊標に刻んでいただいた母の戒名の確認と、
墓所のお掃除が主たる目的でした。

晴れ男の面目躍如、
時雨の一日だというのに
私がお墓参りしている間は一滴たりとも雨が落ちてきません。
ほったらかしにして申し訳ないと思いつつも、
枯葉を掃いていくのは気持ちの良いものです。
お花を活け、お線香を供えると、
凄く清々しい気持ちになりました。
私って、勝手な人間やなと思いつつ…

近々、納骨のため戻ってまいります。