『アイヴァンホー』読破~忠義か愛か~2013年4月24日
アッペルモント作曲『アイヴァンホー』を演奏するにあたり、
そのモチーフとなったサー・ウォルター・スコットの歴史小説『アイヴァンホー』を読んでおりましたが、
先日、ようやく読み終えることができました。
文庫本2冊と聞くと大したことないと思われる向きもあろうかと思いますが、
ひと昔前の文庫本は活字も小さく(古本で入手した岩波文庫でした)、
改行も少ないので文字がビッシリ詰まっていて、
なかなか前に進んでいきませんでした。
久々に「読んだなァ~」感がズシッとくる本でした。
主人公・アイヴァンホーの名前、本当はウィルフレッドといいます(架空の人物です)。
物語の舞台は12世紀のイギリス。
中世といわれる時代です。
ウィルフレッドはリチャード王(この人は実在の人物)に仕える騎士という設定で、
彼の領地がアイヴァンホーという名前。
この当時、騎士を領地で呼び習わす慣習があったものと思われます。
(アイヴァンホーという地名、中世には実在したようですが、現在は残っていないようです)
ウィルフレッドには、相思相愛の女性、ロウィーナがいます。
が、ウィルフレッドの父・セドリックは、二人の仲に反対しています。
そして、馬上槍試合で怪我をしたウィルフレッドを介抱する女性、レベッカが登場します。
小説を読みつつ、
これはウィルフレッドとレベッカのほうが関係が発展していくんじゃないか、
と一人勝手に盛り上がっとったのですが、
どうやらレベッカの方からの片思いだったようです。
(ウィルフレッドにも少しは気持ちがあったようにも見受けられましたが)
最後には父・セドリックの許しを受け、
ウィルフレッドとロウィーナが結婚し、物語はめでたしめでたしとなる一方、
レベッカはイギリスを去っていきます。
その後姿(を見た訳ではありませんが)に一抹の哀しみを感じました。
※※※
私たちが演奏するアッペルモント作曲『アイヴァンホー』は3つの楽章に分かれます。
第1楽章 騎士道の掟
第2楽章 忠義か愛か?
第3楽章 戦いとフィナーレ
第2楽章は、
ロウィーナとレベッカという二人の女性の間で揺れ動くウィルフレッドの心情を描いている、
とCDのライナーノートで読んだように思うのです。
が、実は、ウィルフレッドへの叶わない気持ちをどう整理するか?
愛を貫くか、諦めるか?
その間を揺れ動くレベッカの心を描いた楽章なのではないか?
今、そんな風に考えているところです。