『64』読破2015年7月10日
横山秀夫さんの『64(ロクヨン)』。
読み始めたのは先週の真ん中くらいでしたが、実質、演奏会前日の土曜日と、演奏会翌日の月曜日の二日間で読み上げた感じでした。
読み始めたら止まらない面白さでした。
というより、読むのを途中でやめたら話の筋についていけなくなる、そんな恐怖感にあおられて読み続けた気がします。
横山秀夫さんの「D県警」もの。
最初は原作を読んだのではなく、上川隆也さんが主役の二渡警視を演じた『陰の季節』という TBS の2時間ドラマを観たのでした。
警察ドラマというと、刑事が事件を解決する過程を描くものと思いがちですが、『陰の季節』は警察内の人事異動を巡る話が中心で、その周りに事件が絡むという構図だったと思います。
人事権者が二渡警視。
あまりにも新鮮で、小説も読むことにしたのでした。
それから「D県警」を沢山読みました。
二渡警視がチラッと顔を出すものもあれば、全く登場しない作品もあったと思います。
『64』も「D県警」を舞台とした物語ですが、二渡警視は、主人公の三上警視と対立するかのように暗躍するのでした。
さて、その『64』ですが、昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件(もちろんフィクション)を軸に展開、かと思いきや、横山秀夫さんの作品らしく、事件そのものは間もなく時効を迎える案件で、警察内部の抗争が話の中心。
犯人割り出しに向けての急展開があるのは最後の最後。
やはり「64」の解決が軸だったのです。
横山秀夫さんの構成力にはホントに舌を巻きます。
巨大なシンフォニーを書き上げた偉大な作曲家の構成力に圧倒されるかのように。