封印していた CD を聴く。2016年7月10日
大阪・中崎町。
馴染みの居酒屋のマスターは元・テューバ奏者。
時に「ここはホントに居酒屋か?」と思われるような音楽談義で盛り上がります。
マスターのイチ押しはジーン・ポコーニ。
シカゴ交響楽団の現在のテューバ奏者です。
音色もテクニックもピカイチなんだそうです。
マスターは You Tube でソロや金管アンサンブルを聴いているそうです。
私は CD で聴きたいと思って探しました。
けれど見つかりません。
よほどのテューバ専門店にでも行かないと売っていないのかも。
それならシカゴ交響楽団の CD を聴こうと思いました。
金管楽器が咆哮するタイプの管弦楽曲ならばポコーニのテューバを楽しむことができるでしょうから。
前任のテューバ奏者、アーノルド・ジェイコブスが務めたのが1988年まで。
ということは、それ以降の録音はポコーニが担当している筈。
ところが、1988年以降の CD がなかなか見つからないのです。
仕方ないので、1981年録音、ダニエル・バレンボイム指揮の「チャイコフスキー作品集」を買いました。
仕方ないとは失礼しました。
ジェイコブスのテューバだってもちろんピカイチなのですから。
それに、金管といえばシカゴ響とも言いますし。
買ったのは5月だったと思います。
聴きたくてしようがなかったんですが、第29回せせらぎコンサートが終わるまで封印していました。
私たちの演目であった『序曲1812年』が収録されているからです。
自分自身の演奏プラン、約一年かかって出来上がってきているせせらぎの音、
それらのイメージが根底からひっくり返ってしまう可能性があるからです。
自身の演目を CD で聴いたらダメ、という訳ではありませんが、
聴くならば何種類もの演奏を耳にしたいと思うのです。
1つだけ聴くと、何もかもそれに寄っていきそうで怖いのです。
ようやく封印が解けた今、聴いてみて「?」
そんなに凄いか?
という感想も失礼かと思いますが、正直なところ。
おそらく、「 CD で」聴いているからなんだと思います。
私はつい先日、「生」の『序曲1812年』を、「指揮台で」聴いたのです。
「生音」を全身で浴びることに敵うものはないのですな。
バレンボイムさんのテンポ設定は勉強になりました。
なるほど、その手があったのか、と。
それにしたって自分で悩んで悩んで生演奏をし終えた今だから分かること。
やはり封印しておいて良かったのだと、私は思います。