グリッサンド2017年12月16日

音をずり動かす奏法・グリッサンド。
スライドを動かしながらトロンボーンで奏するのがイメージしやすいかと思います。

似たような奏法にポルタメントがあります。
ハッキリした違いがよく分からないのですが、
グリッサンドの方が激しくて、
ポルタメントの方はやや緩い感じで滑らせていく感じでしょうか。
指揮者のくせに曖昧で済みません。

グリッサンドといえば、
ホルンの得意技でもあります。

甲子園の応援で『アフリカン・シンフォニー』のホルンが吠えているのをよく聴きますね。
『ウルトラセブン』の咆哮も有名です。

私はどちらも中学時代にホルンで吹きました。
先輩からは、
グリッサンドの途中の音がよく分かるように、
キーも動かしながら吹くように教えられました。

ところが、
高校時代に全く毛色の違うグリッサンドと出会ったのです。
ストラヴィンスキーの『火の鳥』です。
グリッサンドの経過音がキッチリ書いてあるのです。

ホルンの倍音列に沿った音が鳴るように書かれているので、
キーを動かさず、
いわゆるワン・ポジションのままグリッサンドせよという楽譜なのです。
もちろん、
楽曲の調性そのものがホルンに合わせてあるという、
高度な作曲技法です。

このグリッサンドに、
久しぶりに出会いました。
冨田勲さんの書かれた『ジャングル大帝序曲』です。

例えばスコアの最終頁。
ホルンにグリッサンドが書いてありますが、
「ド♯・ファ♯・ラ♯・ド♯」が明示されています。
『火の鳥』と同じで、
ワン・ポジで弾くべき筈です。

が、ホルンから離れて何年にもなる私。
どのワン・ポジで弾いたらよいのか、
分からなくなっていました。

が、
分散和音の練習をしていた時のことを思い出してみると …
これは「ファ♯」から始まる「ド・ミ・ソ」に他ならないのです。
ということは、
F 管の解放状態から、
半音ずつ下げていって、
1番・2番・3番キーすべてを押した状態で出る分散和音であることを思い出しました。

スコアを見返してみると、
ホルンのグリッサンドはどれも、
ある音から始まる「ド・ミ・ソ」が倍音で鳴るように設計されています。

やはり冨田勲さんは偉大です。