2012年09月
散髪してもらいながら、ふっと思ったのです。
「そういや、俺、子供の頃、散髪してもらうの嫌いやったよなぁ。
それが今では大好きやな」と。
子供の頃はじっとしているのが堪らなく辛かったのです。
それが今では散髪してもらう約1時間、至福の時と感じます。
以前は美容室に行かせてもらったこともありましたが、
今は専ら理容室。
何せ、美容してもらうほどの髪がありませんから(涙涙涙…)
すっきりスポーツ刈りにしてもらうと、
とっても気持ちいいです。
たまの丸刈りもいいですな。
どうということもない世間話を交わすのも、またいい。
そして最高にいいのが、夜勤明けで散髪してもらうときです。
猛烈な睡魔に耐えながらじっと座っている、あの自虐的な感じ、堪らんです。
でも時々落っこちてしまい、首がガクッ!
「あっ、済みません…」
顔剃りで椅子を倒されると、
遂に耐え切れなくなって本格的に落っこちてしまいます。
顔剃りが終わって「椅子を起こしますよ」の声がかかり、
ふっと我に返ったときの、
あの清清しさといったら!
やめられまへんなァ~
『真夏のSounds good!』も『風が吹いている』も、
初合奏のときはやたらと音が大きく、
バランスもへったくれもありませんでした。
きっとプレイヤーの皆さんにとって、
楽譜を読むのに必死で、
知らず知らずのうちに力みが加わり、
どんどんボリュームが大きくなってしまったのでしょう。
ところが昨日は随分落ち着いた合奏となりました。
かなり楽譜が読めてきて、
演奏に余裕が持てたのだと感じます。
やっぱり「慣れる」ということは大切ですな。
そして「熟れる」、つまり熟成していけばよいですな。
しかし、「狎れる」、これも「なれる」と読むのですが、
「慣れ」過ぎて「なめてしまう」とよくない。
(ちょっと字義から離ているかも知れません…)
常にフレッシュな気持ちで音楽に取り組みたいものです。
以前も書きましたが、
『オール・アバウト・ユー』は
せせらぎのユーフォニアム奏者・カヨちゃんの
吹奏楽初編曲作品です。
今ではコンピュータ浄書による楽譜作成が当たり前になっていますが、
20数年前の当時は手書きが当たり前でした。
カヨちゃんの書いた、この手書きのスコアを眺めながら思うのです。
「美しい!」と。
私自身、この曲を勉強し直さなくっちゃ、と思い、
移調楽器を全部ピアノの調に揃え、
3~4段くらいの五線紙にまとめる「コンデンス」を行っています。
それをしながら思ったのが「美しい!」なのです。
コンピュータで作ってあっても、
「これを作った人、何を考えてんのか全然分からへんなぁ」
という曲もあります。
が、たとえ手書きでも、
カヨちゃんの書いた『オール・アバウト・ユー』は、
編曲者の意図がスンナリ伝わってくるのです。
初編曲作品がこれですよ!
凄いことです!
例えば、ホルンとトロンボーンで和音を作るとき、
ホルンとトロンボーンの音域を完全に分離するのではなく、
音域を重ねるようにするといい響きが生まれやすくなります。
私は20年くらい指揮をやって、
つまり楽譜を読み続けてやっと気付いたのですが、
カヨちゃんは初作品でそれをちゃんと書いているのです。
そりゃ、カヨちゃんはエレクトーンの先生でもあるのだから、
当たり前かもしれません。
けれども、世の中には理論ばかり勉強して、
音にしてみたら「何じゃ、こりゃ?」という楽譜を作る人もいるのです。
やっぱり、凄い!
先日、珈琲・吉田屋のマスターがお亡くなりになりました。
※※※
吉田屋というのは、京都・先斗町(ぽんとちょう)の北のはずれにある喫茶店です。
今ではどこもかしこも「カフェ」がもてはやされていますが、
吉田屋はあくまでも「純喫茶」です。
大学1年生のとき、友人に連れられて始めてこのお店でコーヒーをいただきました。
吉田屋はエスプレッソ・コーヒーの専門店なのです。
また、カウンターしかない、まるでバーのような造りです。
私はその雰囲気がとても気に入り、数日後、アルバイト希望で再訪しました。
3人いらっしゃる大学4年生のアルバイトが卒業で抜ける半年前というバッチリな時機で、
即採用ということになりました。
大学の授業を午前中に固め、
大急ぎで昼食を済ませたら吉田屋へ向かいます。
午後2時から夜の10時まで、アルバイト一人に任されるのです。
コーヒーを淹れ、
洗物をし、
料金を頂戴し、
お客さんとしゃべる。
カウンターの中で一人で切り盛りするのです。
私は週に6回、アルバイトに入りました。
青年期の私を鍛えてくれたのは、
間違いなく吉田屋と、マスターでした。
そして、酒を呑むときもカウンターが好きな私の素地も、
この頃作られたのだと思います。
※※※
大学卒業後も、ちょくちょくコーヒーを飲みに通いました。
特に、夜勤明けで映画を観たあとなど、
吉田屋で一服してから帰る、という習慣でした。
が、昨年の暮れに行ったっきり、訪れていませんでした。
夜勤明けで映画を観たあと、
昼間からアルコールを飲める店にいくようになっていたのです。
まさかマスターのご病気がこんなに悪かったとは…
あまりの不義理に、申し訳なさでいっぱいです。
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