傘を置き忘れるほど動揺する2019年12月31日
私は傘との相性がよくありませんでした。
置き忘れたり、間違えて持って行かれたり。
原因の一つに、安い傘を買うのでぞんざいに扱うことがあると思います。
そこで、高い傘を買って意識改革しようと考えました。
そのおかげか、先代の傘はボロボロになるまで使い切ることが出来ました。
今、使っている傘も割といいお値段のものです。
濡れて帰ったらすぐに水気を拭い、部屋干しします。
食べ物屋さんなどでも、傘立てに置かないように心掛けます。
傘袋に入れて、手元に置いておきます。
そんな私が映画館に傘を置き忘れてしまいました。
『男はつらいよ お帰り 寅さん』を観終わったあとです。
きっと懐かしさがこみ上げるに違いないと思っていました。
泣いてばかりになるに違いないと思っていました。
その通りになってしまいました。
けれども、私の中にあった感情は、懐かしさだけではないのです。
とても複雑な、いろんなのが混じり合った、そんな感情でした。
私は暗闇の中で明らかに混乱し、動揺していました。
そんな中、分かりきったことを思い出していました。
「寅さんは、恋の映画なんだ」ということ。
48作品のラスト5作くらいは、
もちろん寅さんのマドンナも登場しますが、
満男くん(吉岡秀隆さん)と泉ちゃん(後藤久美子さん)の恋の物語に軸足が移っていました。
渥美清さんの死後に作られた特別編(第49作)を経て、
今回の50作目は、
二人のその後を描いた作品でした。
寅さんの失恋と同じくらい切なくてね。
… これ以上はネタバレになるのでやめておきます。
『男はつらいよ』というタイトルですが、
女の人も同じようにつらい。
どの作品を観てもそうでしたが、今回、改めて、
「人は誰しも何がしか抱えているものだ」ということを思い出しました。
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それでは、よいお年を。