あご2012年10月4日
中学生になって吹奏楽部に入って、
特にこの楽器がやりたい!っていうのがあった訳じゃありません。
「ホルンはどうや?」
と勧められるままに、
ホルンの練習を始めただけのことでした。
炎天下でマウスピースを吹いていて
日射病にやられたりしながらも、
約一ヶ月で合奏に参加できるようになりました。
多くの二軍選手を尻目に
夏のコンクールにも中一で出演したのでした。
このままホルン吹きとして順調に成長できたかと言えば、
そうではありませんでした。
ホルンの上級生のN先輩がコルネットにコンバートされ、
中学一年の後半にはファースト・ホルン、つまり高音域を任されるようになり、
奏法が狂い始めたのでした。
基礎ができていない状態で高い音を吹くのは、
それがまた中学生という右も左も分からない奴が吹くのは、
実は危険極まりないのです。
私の場合、
下唇が全く使えない奏法となってしまいました。
無理やり高い音を吹くようになったためでした。
トランペットもホルンも同じなのですが、
金管楽器というのは、
上下の唇の振動を楽器に伝えて発音しています。
「上」と「下」です。
その片方が使いきれていない…
これではいい音が出せる訳がありません。
(もちろん、イチロー選手のように、
型にはまらないで凄い成績を残す人もいますが、
多くの凡人は基礎を踏まえないとそんなことはできないのです)
中学時代はなんとかごまかせたものの、
高校ではそうはいきませんでした。
楽曲中に高音が出てくるのは仕方ないとしても、
普段の練習では高い音を吹くことを禁じられました。
ひたすら中低音域のロングトーンを繰り返す日々でした。
それはそれは暗い毎日でしたな。
高校の先生に紹介してもらったホルンの先生に習いにも行きました。
その先生の教えは、
「ロングトーンばかりではダメ。
アンブシュア(簡単にいうと唇のフォーム)を安定させながら、
音階練習、
分散和音の練習を積み上げるのが大切。
それを毎日続けて、
やっと半年で効果があらわれるかどうかっていう世界やで」
管楽器の肝は、
もちろん腹式呼吸です。
それに加えて、
先生の教えは「あご」の強化でした。
その練習法が上記の音階練習、分散和音の練習です。
とにかく先生の言葉を信じて、
半年間、音階練習と分散和音の練習に明け暮れました。
すると不思議なことに、
巻き込んで使い切れていなかった下唇はしっかりとあごに支えられるようになり、
音色も改善され、
スタミナもつき、
自身を持ってホルンを吹けるように体質改善されたのでした。
※※※
せせらぎで合奏しながら、
チラチラっと皆さんの奏法を観察しています。
やっぱり長年続けてこられた方は、
あごがしっかりしているな、と感じます。
これ、かなり大切な肝だと思いますゾ。