『レ・ミゼラブル』を鑑賞する2013年1月9日

小学校の4年生か5年生で読んだ
ヴィクトル・ユゴー作『レ・ミゼラブル』。
少年少女向けに翻案されたものではなく、
ユゴーの原作をそのまま翻訳したフルサイズで、
文庫で5巻に及ぶ超大作だったと思います。
ジャン・バルジャンの物語だけでなく、
合間合間で19世紀のフランスの歴史を挟んでくる、
歴史ドキュメンタリーの側面も兼ね備えていたと記憶します。
(それがあってこそ理解が深まるとユゴーは考えたのだと思います)
当時、本の虫だった私ですが、
物語だけなら何とか追いかけていけるものの、
小学生の私にフランス史の予備知識がある訳ではなく、
さすがに重たい小説でした。

ロングランが続いているミュージカル『レ・ミゼラブル』。
これが、映画『英国王のスピーチ』のトム・フーパーのメガホンによりミュージカル映画化された、
というくらいの予備知識はありました。
また、映画館で観る予告編で、
通常のミュージカル映画だと予め歌を録音し、
それを聴きながら口パクで演技するところを、
映画『レ・ミゼラブル』では演技しながら歌を録音していったということで、
凄くライブ感があり、
演者の歌と演技がピッタリ一致する映画だと聞いていました。
しかし、その凄さは映画そのものを観るまで分かりませんでした。

ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド。
皆さんの演技が超一流であることは存じ上げていましたが、
歌もこんなに凄いとは存じ上げませんでした。
不明を恥じます。

ヒュー・ジャックマンさん、そもそもミュージカル・スターなんですね。
知らなくて御免なさい。

ラッセル・クロウさん、ソロ・アルバムを出しておられたのですね。
知らなくて済みません。

アマンダ・セイフライドさん、美しいソプラノでしたね。
そういえば『マンマ・ミーア』もミュージカル映画でしたね。

そしてアン・ハサウェイさん、あなたの歌う『夢やぶれて』は圧巻でした。
ワン・カットで5分くらい歌い、演じ続けられたのではありませんか。
もの凄いプレッシャーだったのではないでしょうか。
その強靭な役者魂はどこから出てくるのですか。
私はただただ頭が下がる思いで観させて聴かせていただきました。

全セリフを歌で綴るミュージカルというのも初めての体験でしたが、
ちょっとだけ言わせてください。
キャラクターの心情がすべて歌詞になってしまっているので、
あまりにも分かりすぎるのがどうかと思ってしまいました。
芸術には「みなまで語らない」というものもあります。
語られていないところに想像を巡らす楽しみがあります。
キャラクターの思いが何もかも明らかになってしまっているのが、
ちょっとつまらないと思いました。

でもでも、本当に素晴らしい映画体験でしたよ!