無題2009年12月15日
12/12(金)、仕事で遅くなり、合奏時間が短くなりました。済みません。
今回は『ベルキス』第4楽章のみをターゲットにしました。その中でも練習番号29~終止線を重点的に。
ピッチが合わなくて苦労しました。しかし、今はこういうのを洗い出して音そのものを美しくする時期だろうと思います。これを放っておくと後でエライことになりそうな予感。
俳優さんが映画の撮影に入る前、その映画に必要とされること、例えば殺陣の稽古をしたり、水泳の練習をしたり、乗馬の練習をしたり、といった基礎トレーニングやワークショップを重ねるように、演奏者も基礎固めは大切だと思います。
と、映画の話が出たところで、唐突ですが今日は久しぶりに脱線します。
先日、映画『ブラインドネス』を観に行きました。凄く衝撃を受けました。自分が人間であることが嫌になる、そんな衝撃を。
この映画のプログラムがなんと92ページ!長大です。
そういえば、今年はじめに観た『母べえ』のプログラムもデカかったな、と思い引っ張り出してみたところ、112ページありました。もっと長大だったんですな。
久しぶりにプログラムを眺めていると、いろんな心理的体験だったなあ、と懐かしく思い出します。
これらプログラムを数えてみました。今年一番最初に観たのは『earth』です。「主演:46億歳、地球。」というやつ。『ブラインドネス』で40冊目でした。
プログラムが売り切れていた『西の魔女が死んだ』、子供たちに持って行かれた『カンフー・パンダ』『崖の上のポニョ』、リバイバルのためプログラムを売っていなかった『男はつらいよ』7作品を合計すると、今年は劇場で50本観た勘定です。
今年もそろそろ終わりに近づいてきましたので、独断と偏見による一年締めくくりの映画評をしてみたいと思います、まことに勝手ながら。
【いきなりですが、総合的に】
『男はつらいよ口笛を吹く寅次郎』が一番。この第32作、柴又駅で寅さんの袖を引く竹下景子さん、最高です。その気持ちを感じ取りながらも、そっと見
送る渥美さんもまた素晴らしい。「なんでそこでグッと手を握らへんのや!」と叫びたくもなるのですが、そこが寅さんなのよ。
さてさて、やはり新作から選ぶと、『おくりびと』が良かったです。冒頭5分、本木雅弘さんの所作を観ているだけでグッと映画に引き込まれ、あっという間に2時間経っていました。
「女性を美しく撮っている映画は名画である」が私の持論。『男はつらいよ』のマドンナはすべてが美しく、この基準に合致します。で、『おくりびと』の広末涼子さんがこれまた最高に美しかったのであります。
他では長嶋一茂さんが主演・製作総指揮を務めた『ポストマン』に泣き、テレビシリーズではまり映画にもはまってしまった『砂時計』で夏帆ちゃんに魅せられ、林遣都くん・池松壮亮くん・溝端淳平くんというフレッシュな3人が競演した『ダイブ』に感動し、実話をもとに製作された『三本木農業高校、武術
部』で嗚咽しました。
また、『アフター・スクール』はストーリー展開の意外性に思わず引き込まれました。ラストでスカッとします。
『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』は、ひっさしぶりに映画館で大笑いできる映画でした。とっても楽しかった。続編を期待しています。
【音楽の面から】
プログラムは売り切れでない限り買いますが、サウンドトラックCDはその限りではありません。そんな私が購入したのは以下の6枚。邦画では『砂時計』『チェスト』『ダイブ』『おくりびと』、洋画では『ラフマニノフある愛の調べ』『奇跡のシンフォニー』。
『砂時計』の音楽は、上田禎さん。なんだかとても甘く切ないのであります。
『チェスト』の音楽は、ピアニストとしても有名な女優の松下奈緒さん。この映画にも出演していらっしゃいます(ちなみに『砂時計』主演も)。オーケストレーションもご自身でなさり、もぎたてのフルーツのようなフレッシュな音楽を聴かせていただきました。
『ダイブ』はスキマスイッチの常田真太郎さんの作品。初の映画音楽担当ということですが、感情の流れがよく伝わる映画音楽だったと思います。
また、この映画の主題歌はスキマスイッチのもう一人、大橋卓弥さんソロの「SKY」という曲で、気に入ったのでシングルCDを買っちゃいました。ちなみに、スキマスイッチのCDは持っていないし、この映画を観るまで彼等のことを知りませんでした。
音楽面からも『おくりびと』が傑出しているのではないかと感じました。主演のモックンがチェリストから納棺師に転身することもあり、チェロを主軸に置いた音楽です。秀逸で心に深く沁み入ります。ご担当は巨匠・久石 譲さん。何も申し上げることはありません。いつもメインテーマを口ずさんでいます。
サントラは買っていないけれども忘れてならないのは『ブロードウェイ・ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』です。ミュージカル「コーラスライン」再演のためのキャスト・オーディションをドキュメントした映画で、オーディションの内側を撮っています。「コーラスライン」がそもそもダンサーのオーディションを描いたミュージカルであり、いわば「オーディションのオーディション」。音楽は言わずと知れたマーヴィン・ハムリッシュ。素晴らしいの一言に尽きます。