ガンバとの再会2015年10月25日

3DCG アニメーション映画『 GAMBA ガンバと仲間たち』を観ました。
私が観に行く時間帯には、お子さんは来ることができないのでしょうな。
たった3人での鑑賞でした。
3人で綺麗に二等辺三角形を形作って座ってました。
残る2人も、ほぼ私と同年代だったと思います。

『ガンバの冒険』。
1975年に放映されたテレビ・アニメーション。
屈指の名作です。
以前、トランペットのF地さんに「どんなアニメの再放送を観たい?」と質問したとき、「『ガンバ』が見たいですねぇ~」と答えられたのを思い出したりします。
MOVIX で私と一緒に観た2人も、かつてきっと『ガンバの冒険』を観たでしょうな。

原作は、斎藤惇夫・著『冒険者たち ガンバと15匹の仲間』という児童文学の最高傑作なのです。
最高傑作!と断言させてもらいます。
1972年に出版されています。

私が『宇宙戦艦ヤマト』と出会った1974年前後、小学校高学年に差し掛かろうとしていた時期、クラスの担任の先生が「読書競争」なるものをおっぱじめたのです。
読んだ冊数を競うのか、頁数を争うのか忘れましたが、漫画や雑誌でなければ、とにかく沢山読めばいいのです。
読書感想文なんか不要。
自己申告で、教室に貼られた模造紙のグラフに、冊数だか頁数だかを積み上げていきさえすればいいのです。

私は先生の作戦にすっかり乗せられて、本の虫となっていくのですが、一番最初に読んだのが、忘れもしない、『冒険者たち』なのです。

なぜこの本を読むことになったのか、明確には覚えていません。
が、家に「あった」のです。
しかも、1972年の初版本が。

父母が読もうとしていたのか、姉が読もうとしていたのか、はたまた児童文学の名作という噂(当時はまだ噂でしかなかったでしょう)を聞きつけた親が買っておいて、私に読ませようとしていたのかも知れません。
父も母も姉も死んでしまった今、すべては闇の中です。
とにかく、右も左もわからず『冒険者たち』を読み始めたのです。
そこに「あった」から。

僕は夢中になって読みました。
本を読むのがこんなに面白いんだと気付かせてくれました。

イタチの「ノロイ」の魔の手により絶滅の危機に瀕した島ネズミを助けようと戦う町ネズミ・ガンバと、船乗りネズミの仲間たち。
島ネズミの潮路との恋も描かれ、思春期の入口に差し掛かろうとしている小学生にはドキドキするような物語。
けれど、ノロイとの最後の戦いで、ガンバをかばって潮路は死んでしまうのです。
二人(二匹)は互いの想いを伝えることができないままに。
切なくて切なくて。

読書体験の初っ端が『冒険者たち』だったこと。
『宇宙戦艦ヤマト』やチャップリンの『独裁者』を観たこと。
小学校高学年の時期に私の物語好きの方向性を定める作品群と出会ったのは大きかったと思います。
音楽も、ある意味、物語ですから。