あん2015年11月3日

樹木希林さん主演の映画『あん』。
確か、今年の5月くらいに公開されていたと思います。
5月といえば、演奏会の前でバタバタする時期。
だからと言って映画を観るのを抑える訳ではないのですが、なぜか見逃しました。

京都シネマで、名画リレーと銘打って『あん』をリバイバルしてくれています。
通常、一週間限定の筈ですが、『あん』は二週間かけてくれるようです。
また、普通は一日一回のところ、二回かかっていました(おそらく一週目だけ)

会員は500円で観ることができるというのも魅力で、公開初日の朝イチを狙いました。
混雑するだろうと予想したから。

京都シネマは今でも自由席制なので、入場順で席を確保しなければなりません。
いつもは歩いていく京都シネマに、この日は気が急くので地下鉄で向かいました。
4人目に並ぶことができました。

シアターに入って余裕で席を確保したあと、お手洗いに行ってみたら大人数の行列が!
京都シネマでこれだけの列ができたのを初めて見ました。
そして最終的には立ち見が出るほどの盛況でした。

さて、樹木希林さんもさることながら、永瀬正敏さんの演技にも唸りました。
演技という言葉は相応しくないかも知れません。
お二人とも、そこにいる、という感じ。
演技しているというより、普通に暮らしていて、それが映されている。
ドキュメンタリーよりもっとドキュメンターに感じました。

なかなかできることではないと思うのです。

絶望の底で生きてきて、それでも絶望だけではない生き方をしてきた樹木希林さんに、やはり社会の隅っこで小さくなっている永瀬正敏さんがちょっとだけ背中を押してもらう。
意識してではないけれど。
そんな映画だと僕は思いました。

ぼそぼそっとしか話さなかった永瀬正敏さんが、ラストで初めて声を張る。
大きい声ではなく、ましてや怒鳴る訳ではないけれど、お腹に力のこもった声を出す。
すると、想いは人に伝わるんだ。
僕はそう実感しました。