見事なハッピーエンド2017年1月30日

第二次大戦後のエストニアを舞台とした映画『こころに剣士を』。
原題は『剣士』。
また何やら思わせぶりな邦題ですな。

大戦中、ドイツ軍に召集されたエストニア人の男が、
戦後、ソビエトの目を逃れるようにして田舎町にやってきます。
そこで体育教師としてひっそりと暮らしはじめます。

元フェンシング選手だった彼は、
生徒に乞われるようにフェンシングの指導を始めます。
また、教師仲間の女性と恋仲に。

しかし、遂に過去の経歴がバレ、
レニングラードで開かれたフェンシングの大会で子供たちが優勝した直後、
当局に捕らえられてしまいます。

おそらく強制収容所に送られたのだと思いますが、
匂わせるだけでハッキリとは描かれません。
数年後に釈放されて田舎町に戻ってきた男を、
彼女と子供たちが迎えるシーンでエンドクレジットとなり、
実話がベースとなっていたことが分かります。

ああ良かったと思いました。
今年観た映画の中で(まだちょっとですが)、
一番のハッピーエンドだったと思います。

しかし、良かった良かったでは済まされない面もあります。
なぜドイツ軍に召集されたことで捕まってしまうのか?
エストニアをはじめとしたバルト三国の歴史を紐解く必要があります。
パンフレットを読んで分かりましたが、
大国に挟まれた国の悲哀は今なお続いているようです。