鎌倉2015年6月28日

『海街 diary 』を観ました。
是枝裕和監督の最新作ということで、とても楽しみにしていました。
TOHO シネマズ二条の中で一番大きなスクリーンでかかっていましたが、雨がシトシト降る日だったせいか、いい感じに空いていました。

鎌倉で暮らす三姉妹のもとに異母妹が引っ越してきて、本当の四姉妹になっていく一年間を描いた作品。
ということは映画の予告篇で認識できていたのですが、彼女たちを取り巻く人たちの関係性を把握するのに時間がかかり、映画の前半はいささか頭の中が混乱していました。
今はスッキリ整理できたので、落ち着いてもう一度観たいと思える作品です。

鎌倉でまず思い浮かぶのは、『男はつらいよ』の、いしだあゆみさんがマドンナの回です。
京都で寅さんと知り合ったいしだあゆみさんが葛飾柴又の寅さんのもとを訪ねてきて、そして二人がデートするのが鎌倉でした。
あじさいの花が綺麗だったのが印象的で、かつ、切なかったのを覚えています。

そして『ふたつのスピカ』を思い出します。
原作はコミックスですが、私は読んだことがありません。
私の中にある『ふたつのスピカ』は、NHK が制作したアニメーションです。

主人公・あすみの出身地が鎌倉。
東京の高校に進学するため故郷を離れるまでの年月、鎌倉で多くの経験をします。
高校進学後が中心となるストーリーですが、アニメでは何度もあすみの幼少期から中学時代が振り返られ、鎌倉での出来事が彼女の人格形成に大きな影響を与えたことが描かれます。

『海街 diary 』には美しく印象に残るシーンが多々ありますが、まえだまえだの前田旺志郎くんが広瀬すずさんをチャリンコの荷台に乗せて桜のトンネルを疾走する場面の美しさと言ったらなかった!
ジブリ映画の『耳をすませば』を思い起こしました。

音楽の感じも『耳をすませば』の透明感に通じるものがあるなと思いました。
もっとラフマニノフ的な憂愁の美も感じましたが。

『海街 diary 』の音楽担当は菅野よう子さんでした。
『花は咲く』の作曲者です。

短いテーマの中に感情の起伏が幾重にも織り込まれた『海街 diary 』の音楽は、『ニュー・シネマ・パラダイス』の音楽のように、これから長く残っていくのではないかと思いました。
珍しく、サウンドトラックを買って帰りました。

と、いろいろ書いてきましたが、この映画の核にあるのは「鎌倉」という街ではないでしょうか。
私、先祖代々にまつわる事情から、これまで鎌倉を避けてきました。
が、私個人の気持ちからすれば、鎌倉は訪れてみたい場所であり続けているのです。
『海街 diary 』でその気持ちが固まったように思います。