みちのく一人旅~その2~2011年11月23日

11月9日(水) 天気:晴れ→時雨→晴れ 歩数:17622

福島の飯坂温泉「なかむらや」さんは、本当に温かいお宿でした。
「ひと」が温かいのですね。
そして、自家製の豆腐とラジウム玉子がすごく旨かった!

でも、震災当初の話をお聞きすると、やはり心が痛みました。
「温泉」以外のライフラインがすべてストップしたそうです。
電気が復旧したのが、約10日後。
このときに始めて津波のことを知ったそうです。

温泉街を歩いていると、廃業したと思われる宿も見掛けました。

飯坂温泉の近くには、
源義経に付き従った佐藤継信・忠信兄弟ゆかりの医王寺(いおうじ)もあるのですが、
ここの探訪はまたの機会といたしましょう。

さて、この日は飯坂温泉駅を8:30に発車、
福島交通飯坂線で福島駅到着が8:54。
福島9:20発やまびこ125号で仙台着が9:41、
仙台9:43発はやて103号で一ノ関着10:22。

前日は駅にいなかったタクシーですが、
一ノ関駅は大丈夫でした。
何せ新幹線の停まる駅ですから。

運転手さんに頼みます、
「河崎柵跡(かわさきのさくのあと)と、
黄海古戦場跡(きのみのこせんじょうあと)に行ってください」と。
キョトン、とされてしまいました。
予測された事態であります。
用意してきた地図を見てもらいながら、連れて行ってもらいました。

ともに、前九年合戦中盤戦の重要な史跡です。
河崎柵を出陣した安倍軍が、源氏軍に大勝したのが黄海です。

河崎柵跡

最初、怪訝な表情で連れまわしてくれた運転手さんでしたが、
史跡の説明版を読むうち、
みちのくの歴史に興味を持ってわざわざ京都から来たことに、
大層感激してくれたのでした。

一ノ関駅に戻る車中、時雨に遭いました。
が、車から降りるときには、雨はすっかりあがっていました。

一ノ関12:23発、普通・盛岡行きで、平泉着が12:32。
いよいよ奥州藤原氏の本拠地にやってきました。

コインロッカーにリュックサックを放り込み、
予め用意しておいたデイパックに必要最小限の荷物を移し変え、
ここからは徒歩で探訪です。

とてもいい天気です。
が、翌日以降の天気を危ぶむ噂をあちこちで耳にします。
先程も時雨に遭ったばかりです。
この日のうちに、山の上にある中尊寺まで登るべきか、
それとも中尊寺は翌日に回し、
この日は平野部をウロウロするか、迷います。

冷静になって天気予報を調べたら、
気温は下がるものの、
翌日も晴天が続くと出ています。
よって、この日は平野部を探訪することにしました。

まずは駅から一番近い「伽羅御所跡(きゃらごしょあと)」に向かいます。
ここは説明版が立っているだけです。
誰もいません。

次に向かったのは「柳之御所遺跡(やなぎのごしょいせき)」。
世界遺産からは外れたものの、
立派な史跡公園に整備されていました。
が、やっぱり誰もいません。

柳之御所遺跡

中国の史書に「柳営」という言葉が出てくるそうです。
これは「武人による政府」を表すらしく、
「柳之御所」とは、まさに「武士の政府」を意味するそうです。
イイクニつくろう鎌倉幕府よりも前に、
実質的に「平泉幕府」があったと考えてもいいように思います。
だから僕には面白くて、ここに1時間半もいました。
でも、万人受けはしないのでしょうね。

宇治の平等院鳳凰堂を模して造られ、
それよりも一回り大きかったといわれる「無量光院(むりょうこういん)」。
ここも遺跡ですが、世界遺産のひとつ。
すると、途端に訪れる人が多いんですね。
不思議なもんです。
発掘調査が行われていました。
どんな発見があるのか、興味津々です。

その他にも、「高館義経堂(たかだちぎけいどう)」や、
武蔵坊弁慶の墓と伝えられる石碑などを見て回ったのですが、
少し日が傾いてきました。

「高館義経堂から束稲山(たばしねやま)・北上川を望む」

【高館義経堂から束稲山(たばしねやま)・北上川を望む】

平泉駅に戻り、荷物をピックアップして、
次の目的地に向かうことにしました。
平泉から5~6キロ北に行った所にある、
「白鳥館遺跡(しらとりたていせき)」です。

ここは世界遺産から外された場所ですが、
北上川が大きく蛇行する地点に、
まるで半島のように突き出した地形を利用して作られた城の跡です。

「白鳥館遺跡から北上川を望む」

【白鳥館遺跡から北上川を望む】

タクシーに連れて行ってもらい、小一時間待ってもらったでしょうか。
またもや誰もいない、藪の中の探訪、
いや、探検と言った方がよさそうです。
要害の地であることが、よく分かりました。

探検を終えて、ホッとして帽子を取ったら、何やらニュルッと…
鳥の糞にやられていました。
そんな訳で、手もニュルッと…

毎日、何らかのトラブルに見舞われつつ、旅は続きます。