『彼岸花』を観る2016年2月22日
映画マニアを自負している私。
にもかかわらず、実は小津安二郎監督作品で観たことがあるのは『東京物語』だけ。
それも DVD で。
なかなかリバイバル上映がないとはいえ、たったこれだけというのは情けないと思っていました。
MOVIX 京都で、小津監督作品『彼岸花』がデジタル修復され、一週間だけ特別上映される由。
確か小津監督初のカラー作品だった筈。
見逃す訳にはいきません。
冒頭に昭和33年の芸術祭参加作品だとクレジットされていました。
今から57年前の映画なんですね。
だからか、シアター内はガラガラ。
でも、おかげでゆったり鑑賞できました。
私、「昭和の匂い」を嗅いでいるような気がしました。
よく、「空気感が画面に映っている」という言い方をする方がいらっしゃいます。
実は私、その感覚が殆ど分かりません。
映画好きを自認しているにもかかわらず。
『海街 diary 』だけは空気感が映っていることが感じられた作品ですが。
ましてや、「匂い」なんて分かりようがありません。
が、『彼岸花』を観ていると、その場面その場面に漂っている「匂い」を感じました。
それは漠然とした「昭和の匂い」というんじゃなくて、「匂い」そのものです。
俳優陣では、田中絹代さんの、おおらかだけれど芯の強い母親ぶりが光っているなと思いました。
私のような若輩者がそんな評価をさせてもらうこと自体おこがましいのですが。
音楽は斉藤高順(たかのぶ)さん。
私には『行進曲「オーバー・ザ・ギャラクシー」』の作曲者として印象深い方。
民間人出身の航空自衛隊航空中央音楽隊・隊長としても有名。
が、小津監督作品の音楽を担当した方として、より有名なんだそうです。
不明を恥じます。