楽譜のテンポ表記2015年4月14日

楽譜には主にラテン語で様々な「発想標語」が書かれ、どんな表現をするかの手がかりとなります。

マエストーソ=荘厳に
ブリランテ=輝かしく
エスプレッシーヴォ=表情豊かに
などなど。

(今、手元に音楽辞典がないので、正確かどうかちょっと自信がないですが…)

それとは別に「速度標語」もあります。

アンダンテ=歩くような速さで
モデラート=中庸な速さで
プレスト=凄く速く
などなど。

また、
アレグロ・コン・ブリオ=快速に、元気よく
のように、「速度標語」と「発想標語」が一緒になったものもあります。

さらに、具体的な速さを数値で表す場合もあります。
四分音符=120 とか、二部音符=60 といった書き方で表されます。

この数値で表すテンポ指定、ほとんどのスコアにはちゃんと書いてあります。
72 ~ 80 みたいに幅を持たせた書き方もありますが、とにかく数値化してあります。
が、パート譜には書いてあったりなかったり、曲によって違います。

『ペルセウス』を稽古していて、ハイ・テンポの箇所がどうも思い通りにいかないなぁ~と思っていました。
ゆっくりした場面から急にテンポ・アップするのですが、なかなか上り切りません。

「もしかして?」と思ってコンサートマスターのパート譜を覗かせてもらったところ…
私の勘は当たり、数値のテンポ指定がないのです。
スコアには四分音符=160 と明記してあるのですが。

ってな訳で、具体的な数値を示すと、皆さんにもテンポ感が伝わったようです。
やっとイメージ(私が抱く)に近づいたかなと思います。

ところで、パート譜にはなぜ数値が書かれたり書かれなかったりするんでしょう?

一説には、作曲家自身がテンポ指示を「絶対」だと思っていないという話を聞いたことがあります。
もっと突き詰めると、テンポの指定に「迷いがある」とも。
なので指揮者にだけはスコアで知らせて、パート譜には書かないで奏者には伏せる。
そうすることで生まれるその演奏団体のテンポ感に任せようとしているのではないか?

あるいは単に楽譜出版業界の慣習なのか?

長年音楽をやってきましたが、本当のところはどうなのかよく分かりません。
あるいは、本当のことなんてないのかも知れません。
何にしても、こんなちっちゃなこと一つとっても興味が尽きないものです。

ところで私自身が数値化されたテンポをどう捉えているか?というと…
・厳密にやろうとする
・大体その辺と思われるテンポを狙う
・前後の関係性( 60 のテンポから 72 のテンポに上げるとか、152 から 80 に落とす)とかで考える
・全く気にしない
など、いろいろ。

やっぱり楽譜を読んだ感じ、皆さんと合奏をしながらの感じで変わっていきますね。
「絶対」といったものはないように思います。