平等院2011年10月5日

夜勤前に早出し、夜勤明けで居残りすると、さすがに堪える。
阪急で四条烏丸まで帰ってきたとき、
「今日は歩くのやめて、タクシーに乗ろうかな」
と思ったほどだ。
が、風邪で高熱が出ている訳じゃない。
やはり、意を決して歩くことにした。

丸太町を越えて京都御苑にさしかかった時、
急に甘い香りが鼻孔いっぱいに広がった。
キンモクセイの香りだ。
脳髄をくすぐる心地よさだ。
やはり、歩いてよかった。

すっかり元気を取り戻した夜勤明けの翌日、秋晴れ。
しかし、まだ少し眠い。
今週いっぱいで終わる映画も気になるところだが、
このままでは途中で寝てしまいそうだ。

こんな日は体を動かすに限る!
そして時々居眠りするに限る!
という訳で、唐突だが、
宇治の平等院に行くことを思い立った。

JR宇治駅からでも、京阪宇治駅からでも徒歩10分。
そんな予備知識だけは昔からある。
「いつでも簡単に行けるや」という油断が常にあって、
行くきっかけが全く掴めなかった。
しかし、今日は意を決した。
大きな旅の前の、予習も兼ねている。

JR奈良線を選択。
平日のゆったりした車内で、
案の定、うとうとする。
宇治駅からは徒歩。
迷うことなく到着した。

左右の翼廊を従えた優美な鳳凰堂の姿、
まさか知らない人はおりますまい。
どうしても分からないという方は、
どうぞ10円玉をご覧ください。

鳳凰堂を外から眺めるだけで充分だったのだが、
なんと、鳳凰堂の内陣を拝観できるというのである。
別料金が必要だが、せっかく、である。
人数制限があるが、平日の午前中である。
すぐに入ることができた。

黄金に輝く阿弥陀如来坐像に、
すっかり圧倒されてしまった。
信徒でもなんでもないのに、
自然と頭を垂れ、手を合わせていた。
なんだか泣けてきてしまった。
来てよかった、と思った。

平等院を模して建てられたという、平泉の無量光院。
いまでは遺跡となってしまっているが、
その規模は平等院を上回るものであったらしい。
果たして、どんな姿だったのだろうか。